今国会の解散断念
2023年11月 9日 tag:
今日、一斉に報道機関が「岸田首相、今国会の解散断念(先送り)」と打ちました。
これほど断定的に報じるということは、そのネタ元は岸田首相本人ということでしょう。解散決定権は、前にも申し上げたとおり、総理にしかありませんし、一連の流れは、今週火曜昼、わざわざ首相が党本部にまで出向いて会っている人物のことを考えれば、伺い知ることができます。
ただ、岸田首相の本音は、この臨時国会で「経済対策」(または補正予算)を決定(または成立)させてからの「今国会解散」(冒頭であろうが会期末であろうが)だったはずです。そのために9月以降、周到な環境整備をしてきたことは、私もここで皆さんにお話ししてきたとおりです。
しかし、先の補欠選挙の結果だけでなく、その後、策定した経済対策(所得減税)の不評判、政務三役の陸続としたスキャンダル発覚、しかも絵にかいたようなツボにはまったそれ(文科政務官が不倫、法務副大臣が選挙違反、財務副大臣が税金滞納)。「適材適所」がまったく嘘だったことも明らかとなり、解散したくてもできない状況に追い込まれたというのが真相です。
ただ、これで岸田首相が「来年秋の総裁選前の解散」をあきらめたわけではありません。すでに何をしても裏目裏目にでる「負のスパイラル」に入った不人気の岸田さんが、それでも総裁選を乗り切るためには、総裁選前に解散して自民党議員が選挙の心配なく総裁選を迎えることが必要最低限の条件だからです。
私は一番可能性が高いのが、通常国会の会期末解散だと思います。会期末といえば来年6月。ちょうどボーナスも支給され、肝の所得税減税もそのタイミングで実施される。国民が効果を実感できる?その時しか、岸田首相からすれば、解散のタイミングはないと考えるだろうからです。
しかし、一旦、「負のスパイラル」に入った政権を浮揚させるのは並大抵のことではないことは、私も首相という人物にお仕えした経験から断言することができます。であれば、岸田首相も、菅前首相のように、「総裁選前に(解散できず)退陣」という可能性も現実味を帯びてきたように思えます。
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