人の不幸を踏み台に経済成長?観光立国?それが日本の「国柄」か!? ・・・シリーズ① 与党、カジノ(IR)実施法案を強行採決?多くの国民やメディアが反対!
2018年6月 3日 tag:
カジノ。賛成、反対、それぞれの立場からの理由はあるでしょう。しかし、その「根っこ」には、日本の「国柄」「国の有り様」「国の品格」というものをどう捉え、どう考えるのか、政治家や人それぞれの「感性」の違いがあるのではないでしょうか?
カジノは「バクチ」「賭博」「ギャンブル」です。一体こうしたものが、日本の悠久の歴史、伝統、文化というものに照らしてどうなのか、それにそぐわない、その「美風」に反するものではないのか、といった本源的な問いかけを避けて通るわけにはいかないのです。
安倍首相も、最近はつとに口に出さなくなりましたが、第一次政権時には、国会演説等で「美しい国・日本」を目指すとして、「世界に誇りうる美しい自然に恵まれた長い歴史、文化、伝統を持つ国」「四季折々の風景、伝統が織り成す技や文化、日々の生活の中にある日本の美しさ」「その静かな誇りを胸に、今、新たな国創りに向けて、歩み出すとき」としていました。私は安倍首相とは、その政治理念や多くの基本政策で立場を異にする政治家ですが、この点だけは首肯しうると考えていたものです。機会があれば、安倍首相に「カジノ(賭博)」は「美しい国・日本」にふさわしいのかと問うてみたいものです。
そう、古来、日本では「賭博はご法度」とされてきました。7世紀、持統天皇の「すごろく禁止令」以来、1300年の歴史があるという人もいます。どうしても賭博は、この日本で、「裏社会」「闇の世界」「社会の暗部」で生息してきたことは否めないでしょう。それを堂々と表に出して「やれ、経済成長だ!」「観光立国だ!」ということに、大いなる違和感を覚える人が俄然多いというのが現実なのです。
それは、カジノ解禁に対する各種世論調査をみれば一目瞭然です。どの調査をとっても、見事に、賛成は20%前後、反対は60%前後です。
例えば、共同通信の今年3月の調査では、賛成22.6% 反対65.1%です。時事通信の昨年7月の調査、これは男女2000人への個別面接聴取方式でかなり正確性の高いものですが、賛成22.8%、反対66.8%と同じでした。
同時に、時事通信は「カジノ反対理由」を問うていますが、「治安が悪化する」68.2%、「青少年に悪影響がある」57.5%、「依存症が増加する」55.7%、「反社会的勢力の資金源となる」32.9%等でした。「カジノに行ってみたいか」との問いには、「思わない」が76.6%に上り、「行ってみたい」は19.6%にとどまりました。
私は、昨年夏(7月)の横浜市長選に自前の候補者を立て、身銭を切って「カジノを争点化」して戦いましたが、その時の地元紙(神奈川新聞)の調査でも同じ傾向でした。65.2%が反対で、賛成は22.7%です。昨年の衆院選時(10月)でも68.0%が反対 賛成は24.5%でした。
興味深いのは、カジノ解禁に対しては、全世代、全党派、男女とも、反対が圧倒的多数だということです。そして、世代が上になるほど、女性ほどその傾向が顕著になります。男性では反対が56.9%、賛成が24.2%。女性では反対が66.1%、賛成がたったの8.1%。年代別では賛成(24.6%)が一番多い30代でも反対が52.4%。60代では賛成(10.4%)が一番少なく、反対が71.6%でした。自民党支持層に限っても、賛成が29.8%、反対が44.4%なのです。
また、めずらしく全国紙すべてが、カジノには反対または慎重なのです。例えば、読売は社説で「他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全」「深刻な副作用を踏まえ再考せよ」。産経も「多くの疑問を残したまま駆け込みで事を進めている」「懸念解消を先送りするな!」「国の無責任さ見過ごせぬ」。日経も「拙速なカジノ解禁は問題が多い」。安倍政権には日頃優しい?読売、産経までが、カジノ解禁には厳しい論評をしているのです。
多くの国民が反対し、すべての大手メディアが多くの疑問を呈する中、それでも、安倍政権、与党・自民党、公明党は、カジノ実施法案を強行するのでしょうか?特に、担当大臣の石井国交大臣は公明党議員、報道では、その支持母体である婦人部の皆さんにも反対が多いとのことです。公明党は、自民党の暴走に歯止めをかける役割を国民から期待されていたはずです。ゆめゆめ、来年春の統一地方選、夏の参院選を控えて、こんな法案は早めに通しておいた方が良いとの理由で「強行採決」に加担されないことを祈っています。
しかし、こういう世論の反対論に言及すると、政府与党は、「世界最高水準のカジノ規制を導入」した、そうした厳格な規制や監督を前提に解禁したという説明をすれば、国民は必ず理解してくれるはすだと主張します。しかし、私はそうは思いません。国民がカジノに反対なのは、政府の「説明不足」が理由なのではなく、カジノが刑法上の「犯罪」に他ならないからなのです(続く)。
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