第一次北朝鮮危機の時は当時の官邸から機密情報がもたらされていた(故橋本龍太郎首相談)
2017年11月30日 tag:
北朝鮮危機が深刻化している。こうした時、与野党の国会議員は何をなすべきか?
外交・安全保障は、一義的には内閣、政府の専管事項だ。特に危機管理はそうだ。こうした時、与野党の政治家が心すべきことは、外交の「一元化」「窓口の一本化」「与野党の別ない国をあげた対応」だ。
一番良くないのは、議員が「議員外交」と称して「功名心」から内閣の方針以外のところで勝手に動くことだ。ルートが複数化し、まちまちの対応をすれば、相手に足元をみられ付け込まれるだけだ。これは「議員」に限らない。
ただし、国会でやるべきことは多い。「すわ危機!」となった時の迅速な国会対応だ。緊急立法もあるだろうし、法律上の「国会承認」もある。政治的に確固とした意思を示す「決議」もあるだろう。
その点、安倍首相、官邸の大きな問題点は、野党にそうした協力を求めるという姿勢が皆無であることだ。「由らしむべし、知らしむべからず」。そういえば、この内閣は、他の案件でも「与野党党首会談」を開いたことがない。
故橋本龍太郎元総理から、秘書官時代、興味深い話を聞いたことがある。第一次北朝鮮危機(93年3月~94年6月)の時のことだ。首相は細川護熙氏、羽田孜氏。
「自分は当時、野党自民党の政調会長だったが、その私には当時の官邸から機微にわたる安全保障上の情報がもたらされていた」
もちろん、野党議員すべてに機密情報を伝えろと言うつもりはさらさらない。橋本氏が言うように、野党でも要路にある一握りの人間に、厳重な「緘口令」をひいた上で、来るべき時に備えた情報提供することはあってしかるべきだろう。「一握り」といえば党首、幹事長、政調会長ぐらいだろうか。
今からでも遅くない。安倍首相には、こうした危機管理上の国をあげた対応という「要諦」にも意を配していただきたいと思う。
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