カジノ誘致は加計学園と同じ構図!・・・横浜市長選でわかったカジノ反対の民意
2017年8月 9日 tag:
私が横浜市長選にめずらしくこだわった理由。それは横浜へのカジノ誘致に断固反対するためだった。案の定、7月2日に投開票された市長選では、カジノへの賛否が最大の争点となったのである。
市長選の結果は残念なものとなったが、その甲斐あって、選挙戦後、なかなか興味深い世論調査が出てきた。それは全世代、全党派、全性別で、カジノ反対が圧倒的多数を占めたのだ。この傾向は、世代が上になるほど、女性ほど顕著になるという。
地元神奈川新聞(市長選出口調査/2227人回答)によると、カジノ反対が61.5%、賛成が16.3%。男女別に見ると、男性では反対が56.9%、賛成が24.2%。女性では反対が66.1%、賛成が8.1%。年代別では賛成(24.6%)が一番多い30代でも反対が52.4%。60代では賛成(10.4%)が一番少なく、反対が71.6%だった。
ちなみに、そんなカジノ実施法を、安倍政権は今秋の臨時国会で成立させようとしているのだが、その自民党支持層に限っても、賛成が29.8%、反対が44.4%となった。
こうした中、政府の「IR整備推進本部」は、8月1日、カジノを含むIR(統合型リゾート)の運営ルールに関する報告書を安倍首相に提出した。これが「曲者」で、その内容が極めて意図的であることを国民やメディアは早く気付いてほしい。安倍官邸は性懲りもなく、あの加計学園と同じ構図で事を進めようとしているのだ。
そう、獣医学部を今治市におとしたように、カジノを横浜と大阪におとそうとしているのである。その誘致のルール・基準に、国際会議場、展示場、ホテルなど計5施設を備えることを条件としたのだ。特に「国際会議場の併設」を義務づけ、かつ、カジノ設置数も当初は2~3という上限を定めることで、獣医学部新設で加計学園しか通れない「穴」をあけたように、カジノについては横浜と大阪しか通れない「穴」をあけようとしているのだ。
その証拠に、この5月、こうした政府の動きをいち早く察知した和歌山県知事が抗議の会見を開いた。そう、カジノ誘致に熱心な地方で、ペイする(稼働日数を確保できる)国際会議場を設けるのは至難の技で、これでは地方にカジノは誘致できないとルールの見直しを求めたのだ。
和歌山県は市南部の人工島「和歌山マリーナシティ」へのIR誘致を進めてきたが、知事は「地方創生の観点が抜け落ちている」「地方都市でその要件を満たすことは極めて困難」と指摘。こうした施設を国際会議の需要が少ない和歌山で維持していくことは現実的に難しいことが最大の理由である。
それでは、なぜ、横浜と大阪なのか。それは昨年末、カジノ解禁法案を強行成立させた背景を探ればわかる。強権的な国会運営は安倍政権の常とう手段とは言え、この法案の場合はさらに異常な手続きが踏まれたのだ。
そう、当時、与党の公明党まで置き去りにして、安倍官邸と今や盟友関係となった大阪維新の会とが手を組んで強行したのだ。本法案について、公明党に公党としての意思決定の暇(いとま)も与えないままに。こんなことは従来の国会運営の常識では考えられないことだろう。結果、山口代表も井上幹事長もカジノ解禁法案に反対票を投じた。そこにどういう力学が働いたか、想像に難くないだろう。
さて、いよいよ現実味を帯びていたカジノ誘致。3選された林横浜市長はどう対処するのだろうか?菅官房長官のおひざ元で、カジノを誘致しないという決断はできるのか?横浜の商工会議所もこぞって誘致推進だ。そこには大きなお金が落ち、利権も絡んでくるからだ。
林横浜市長は選挙戦を通じて「カジノ誘致の是非は、議会や市民の意見を尊重して決める」と言ってきた。にもかかわらず、この市長選で出た明確な「カジノ反対」という民意を踏みにじってカジノを強行するならば、私は、リコール運動を含め、あらゆる手段を講じて阻止していく決意である。
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