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連載/日米自動車交渉秘録②・・・四極通商会議(ウィスラー)

2017年2月17日  tag:

5月5日(金)4極貿易大臣会合(バンクーバー/ウィスラー)

 今日は夕方4時10分から約2時間、4極終了後にカンターと最後の自動車交渉を行った。メンバーは次官級以上。冒頭からカンターの様子は決裂を想定させるような言いぶり。大臣は3分野を淡々とこなしていく。

 一回はカンターも切れかけた。大声を張り上げた時だ。「あなたが米国政府のインタレストに興味を持たないならこれ以上やってもむだだ。」これで「じゃ終わろう」といったら途中で終わっていた。大臣はすっと立ち上がり、礼して「言葉が過ぎたら許してくれ」と言った。これが唯一の危機。後は最後までこなして決裂。静かに決裂した。

 規制緩和では、工場と検査の分離をアメリカは最後まであきらめず、こちらから米国会計検査の例などを引いて反論したが最後「問題はそんな理屈ではなく、とにかく外国品を日本市場は差別的に扱っているということだ」大臣から「それを言ったらおしまいですね」で次に移る。

 ディーラーシップ。ここでまたダウンペイメント。短期(ここ1年)のうちに予測できるヂィーラー数を期待する、を要求。数値目標だというと台数ではないからそうではない。そして極めつけは「円高であれ円安であれ、米国人であれそうでないにしろ、米国品に競争力があろうとなかろうと、日本に対し巨額の赤字があり、市場がクローズしているのが問題なんだ」との投げやりな発言で終わった。

 ジョイントアナウンスメント。2つ必要。定量、定性基準。90、92年の前例にならって新しいまたは改訂されたボランタリープランの必要。これで双方合意できないということで終わった。

 終わった後、記者会見。大臣はみんなにすまなかったと少し目が赤い。官房長官にも電話し「力不足で済まない」。ただ、記者会見後いためし屋で各省幹部も入れ打ち上げ会をやったときは変に爽快感で、楽しく過ごすことができた。大臣も良いねえチームワークよくやってくれたと。

 ホテルに着くと写真にサインをしたお礼にと、その子が韓国人のマッサージを連れてきてくれた。大臣「うれしいこともあるね」と言って就寝。

(写真は忙中閑あり。ウィスラーのホテル前で通訳の大森さんと)
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「日米自動車交渉」(95年6月)秘録 連載スタート
連載/日米自動車交渉秘録③・・・OECDでの攻防