連載/日米自動車交渉秘録⑤・・・ジュネーブ最終交渉 2日目
2017年2月22日 tag:
95年6月27日(火)ジュネーブ最終交渉 2日目
大臣と朝、顔を合わせると調子が悪いことがわかる。顔が腫れている。軽妙な冗談も出ない。11時からのテタテまで勉強会。13時30分から全体会合。かなり補修部品市場、ディーラーとまじめな応答が続く。ウイスラーとは様変わりなカンターの言動に少し期待。ディーラーシップ、補修部品ともエキスパートでそれぞれ検討させることを決定。
17時から再びテタテ。ここでボランタリープランの共同声明案がカンターから出される。カンターがノートする前提で、部品購入額、調達率、完成車の輸入額が記され、それを両大臣がウェルカムするとなっている。また企業ごとのボランタリープランの数字を秘密で見せてくれ、それは絶対漏らさない。漏らせば首覚悟というカンターの言葉まで出てきた。
テタテ後全体会合。結果は無残。ノープログレス。ボランタリープラン。互いの立場を述べ合っただけでデプティへ。ディーラーシップ。上に同じ。ただしカンターはダウンペイメントは合意にクリティカルという。公取の強化。総理・3党へ話をすることを約束。上の2項目がほとんど何の指示も下りていない。坂本や渡辺がかわいそうな内容。これから彼らは徹夜で決裂への舞台づくりをすることになる。
ホテルに帰った後大臣と2人。これは決裂、制裁である。デプティーは何ら案文をまとめられないだろう。お手つきという意味ではカンターがダウンペイメントにこだわったことは大きい。301で理解する国もあるが、これは数値目標そのもの。またボランタリープラン公表はぎりぎりの努力と自動車メーカーの身綺麗さを少しは表明できる。
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