予算委9/30 論戦⑤・・・法人税/大企業にも応分の負担を
2016年10月16日 tag:
安倍政権は、成長戦略の一環として、法人税減税を進めています。その実効税率は、12年度政権交代時には38.01%だったものが、29.97%(16年度)→29.74%(18年度)となる予定です。
そして、企業の内部留保を設備投資や賃上げに使ってほしいと促しています。しかし、内部留保は、法人減税にかかわらず増え続けており、今では377兆円(前年度から23兆円増。うち現預金も200兆円超)にまで膨れ上がっているのです。
おまけに、資本金が多い大企業ほど、この法人税が優遇されているという矛盾、不公平があるのです。下記のパネルの通りです。
実際の法人税負担率は、大企業と中小中堅企業で逆累進課税となっているのです。資本金100億年超の大企業の実際の負担率は20.28%で、資本金1000万円以下の小規模企業約25.60%よりも低い。ちなみに資本金1~5億円の中堅企業は35.75%と高い(富岡教授のグラフ)。
なぜ、そうなるかと言うと、法人税関係の租特、政策減税により「法人税の空洞化」が進んでいるからです。こうした「不都合な真実」は、計算値の差はあるものの、多くの学者からも指摘されています。例えば、関西大学教授の前川聡子教授です。
この租特、政策減税を見直し、大企業にまともに税負担をお願いすれば、9兆4065億円の増収になるとの試算(富岡教授)もあるくらいです。これに加えて、ケイマン(日本から66兆円直接・証券投資/日銀)等への課税回避の問題もあります。
こうした点に徹底的にメスを入れれば、「兆円単位」で財源が出てくるのは必定でしょう。何も大企業に重税をと言っているのでありません。大企業も中堅企業並みに、応分の税金を払ってくれと言っているだけなのです。
なお、こうした「課税ベースの歪み・虫食い(租特・政策減税)を是正」をすれば、全体の法人税率は下げていっても良い。全体的に「増収」になれば良いわけで、そこは政治の「腕の見せ所」といったところです。富岡教授は、国・地方合わせた法人税率20%として一律、公正に課税すれば、税収は1.5倍になると試算しています。
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