シリーズ/企業団体献金の全面禁止を!・・・②なぜ政治にお金がかかるのか?(下)
2016年3月 3日 tag:
そこで(足りない分は)「個人献金」となるのですが、残念ながら、日本では、個人献金の習慣が育っていません。米国には草の根民主主義の歴史、伝統があります。「小金持ち」「中金持ち」がベンチャー企業に投資したり、政治家へ寄附をしたりする。
オバマ大統領は大統領選で、インターネットを駆使し「ワンクリック献金」等で何百億円も個人献金を集めました。そういう土壌、文化が日本にはないので、個人献金といっても、どんなに集めても年間一千万円には届きません。
私の場合、政治活動を、その個人献金だけで支えていただいてきましたが、よくて年間一千万円弱です。といっても、議員平均からすると多い方の部類に入る。ただ、無所属時代はこれだけでは政治活動ができないので、不足分は、国会議員の給料等の一部を自分の事務所に寄附をして賄っていました。
こういう実態も、よく国民の皆さんに理解していただいたうえで、真面目な政治家が、真っ当に政治活動をしていてもお金が足りないということであれば、政党助成金を活用すべきではないか思います。政治家が金集めに腐心をして、本来やらなければならない政策や議員立法の立案に手間暇を割けない、というのでは本末転倒ではないでしょうか。そこから、奈落の底に落ちていった政治家の姿も、これまで直接、見てきました。しかし、国民の間には根強い「政治不信」があるので、こんなことを言ったら袋叩きにあいかねない。
もちろん個人献金の促進策も必要です。献金した場合の所得税額控除をもっと拡大するなどの優遇措置を講ずるべきでしょう。現在は、一〇万円、二〇万円献金しても、所得税から控除される額は微々たるものです。もっと大胆に、寄付した額の半分は所得税から控除するといった恩典を与えれば、それはそれで個人献金を促進していくことでしょう。
このように、政治活動は、個人献金を中心に行っていくべきです。ただ、それだけでは今の日本では資金手当が不充分なので、やむをえず政党助成金も活用する、その代わりに政治家個人への企業・団体献金は全面禁止にするという流れを、もっと推し進めていかなければなりません。何も、私だけが声高に言っているのではなく、この方向は、九三年当時、政党助成金制度を導入した時の、与野党含めて合意した政治資金制度の原点なのです。
最後に付け加えると、政党助成金を共産党はもらっていません。政党助成金に反対する人は、国から交付される助成金だから、政党が国に過度に依存することになり、政党の国家管理が進むと考えるからだそうです。
しかし、私は、いまのような機械的な計算で、自動的に助成金の配分額が決まるような法律さえ国会がつくっておけば、行政府である総務省が、政党を左右することはあり得ないと考えています。助成金交付に裁量性をなくし、羈束(きそく)行為でしっかり縛っていけば心配はありません。それよりも、企業団体献金を続けることの方が悪を生みやすいのです。
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