なぜ政治に金がかかるのか?・・・①企業団体献金禁止は細川内閣時に決着済み
2016年2月 8日 tag:
甘利問題を受け、維新の党と民主党は共同で「企業団体献金(パーティー券の購入を含む)禁止法案」を、この国会に提出することとなりました。予算委員会でも散々、この問題を安倍首相に問いただしましたが、まったくやる気がありません。「民主主義にはコストがかかる」「企業・団体が政党に献金すること自体が不適切なものとは考えていない」等々と答弁するだけです。
しかし、白地で(一から)この問題を議論するならともかく、そうした議論はとうに決着済みなのです。「安倍さん、今更何を言うのですか!」というのが率直な私の思いです。これまで問題が起こるたびに「政治資金の透明化」ということでお茶を濁してきた自民党も、もうそろそろ観念したらどうでしょうか。こうした「政治とカネ」スキャンダルがいつまで経ってもなくならないのですから。
私が「とうに決着済み」と言うのは、本来は、細川政権の時に進めた政治改革の一環として、国民の税金を使って政党助成金制度を導入する代わりに、政治家個人への企業・団体献金は禁止することになっていたからです。政治資金規正法の附則にもそう規定されていました。しかし、小渕内閣で、「企業・団体献金は禁止」と称しながらも、それは政治家「個人」に対するものだけで、「政党」には可能ということにしたのです。
そうなると、政治家という人種は、「便法、脱法行為を考える天才」です。企業・団体献金が許される「政党」といえば、自民党本部、民主党本部などの政党本部だけなのかと思ったら「あにはからんや」、それまでなかった「政党支部」という組織が、「雨後の筍」のように作られたのです。
結局、政治家個人と一心同体ともいえる政党支部、たとえば自民党衆院神奈川八区支部という政党支部へなら、従前どおり、企業・団体献金ができることになった。支部長は、その選挙区から出ている政治家個人が務めるから、入ったお金は、その政治家個人の一存で自由に使える。また、その企業・団体献金を受けた政党支部から、政治家個人の政治資金管理団体にも寄附できるから、結局、企業・団体からの献金が、何の規制もなく、個人の政治家に流れ込むという実態は少しも変わらないのです。
さらに、政治団体を通せば、政治家「個人」も実際上、企業・団体献金を受けられるということもあります。例えば、業界が「建設業政治連盟」「自動車整備政治連盟」といった政治団体をつくり、傘下の企業から集めたお金を、そこを通じて政治家個人に献金するのなら、それは合法なのです。まさに「形を変えた企業・団体献金」「マネーロンダリング」でしょう。もっとも、私は、既に述べたとおり、企業団体献金は政治信条として受けとってはいませんが。
こういう国民を欺くやり方、尻抜けの方法を平気で作っておきながら、一方で、税金で年間300億円を超える政党助成金も受け、完全な二重取りとなっているのです。これを国民との約束違反、裏切りと言わずして何と言いましょう。
しかし、「政治とカネ」スキャンダルが起こるたびに、「政治資金の透明化」が多少進むぐらいで、大山鳴動してネズミ一匹も出ず。これでは、いつまでたっても同じことの繰り返しです。企業献金には、補助金受給企業や赤字企業からの献金規制もありますが、元々調査能力もない政治家個人事務所が「知らずに受け取った」として返金する事例も跡をたちません。
やはり、抜け道の政党支部への企業・団体献金も全面禁止し、必要な政治資金は、個人献金と、税金たる政党助成金(年間1000万円前後)、文書通信交通滞在費(年間1200万円)、立法事務費(年間780万円)等でまかなうべきでしょう(続く)。
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