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この程度の改革で農業再生とは!・・・JA全中の監査権限の廃止

2015年2月 9日  tag:

 今、「農協改革」の一環として、JA全中の監査権限の廃止ばかりがクローズアップされています。まさに、この程度の改革で自民党内が大揉めに揉めていること自体が自民党の「宿痾(しゅくあ)」のようなものでしょう。


 しかし、今、日本の農業が置かれている危機的状況を考えれば、この程度の、やらないよりやった方がまし程度の改革で、本当に日本の農業が再生すると安倍総理は考えているのでしょうか?


 「農協改革」を言うなら、農協を農家支援部門とその他の金融部門に分離し、しっかりと金融庁の監督下に置き、他の一般金融機関との公正な競争を促すべきでしょう。さらに言えば、農協の正組合員(467万人)より準組合員(非農家517万人)の方が多いという現状は、どう考えても「協同組合」という法の趣旨から逸脱している。この是正策は避けて通れないのに、安倍総理も全中や自民党内の抵抗勢力を恐れて手をつけません。


 地域の農協の競争、創意工夫が重要だと言うなら、同じ地域にも第二農協、第三農協の設立を積極的に促し、競争させた方がはるかに効果的でしょう。創意工夫を促すなら「よそ者」をあえて入れる、異業種連携・融合、新規参入から新しい知恵は生まれるのですから、農業生産法人の要件緩和だけでなく、「ゾーニング規制」を強化しながら株式会社の農地所有を認める。お年寄りや若者も都会は嫌だ、地方に行って農業したいという人も増えているのですから、どんどん受け入れる。農家の跡取り、担い手も不足して困っているのですから一挙両得でしょう。そのためには、既存の農家、地の人で固めて、よそ者を入れたがらない、かつ、別名「転用委員会」とも称されている農業委員会の改組も必要でしょう。こうした「平成の農地改革」が必要不可欠だと思います。


 また、政府は食糧自給率の向上を訴えているのですから、コメの減反も本当に廃止して、どんどんコメを作りましょう。政府は18年から減反は廃止すると言いますが、その実は「形を変えた減反政策の継続」、「名ばかり廃止」です。確かに国が音頭をとって減反を促す制度は廃止されますが、コメ以外の作物に転作する奨励金を増額して実際にはコメの減反を促す。こうした需給調整でコメの値段を高止まりさせて農家の所得を維持する、いや増やす。損をするのは高いコメを買わされる国民、消費者という、いつもながらの図式です。


 日本のコメは「美味しくて安全」ということで海外でも飛ぶように売れています。減反という需給調整を本当になくせば、コメの値段はさらに下がり、もっと輸出できるようになるでしょう。ただ、その分だけ農家の所得は下がる、そこは税金で一時的に直接支払い(所得補償)をしても良い、頑張る農家は支援する、欧米でも当たり前のようにやっていることです。そして、778%という関税も段階的に廃止していく。


 この数十年間、日本の農業は、ウルグアイラウンド対策費で8年間6兆円の税金をばらまいても、コメに異常な高関税をかけても、衰退の一途をたどってきました。この間、農業就業人口は八割減、戸数も半減、生産額もピーク時の三割減、岩手県分の農地が失われ、滋賀県分の耕作放棄地が増えた。そして、農業従事者の平均年齢は66歳です。このまま保護政策を続けていても確実に日本の農業は壊滅してしまいます。この際、農政の発想を抜本的に転換して、大胆な農業構造改革を断行していかなければ、日本の農業の将来を切り拓いていくことはできません。


 以上、維新の党は「農業や農家は守るが農協は守らない」。農業を輸出・成長産業にする、そのために頑張る農家、特に専業、主業農家は支援する。この基本方針の下、農業再生に全力で取り組んでまいります。

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