消費増税凍結法案を提出・・・増税の前にやるべきことがある!
2014年11月 4日 tag:
維新の党は、11月4日、来年10月からの消費税10%への増税を延期、凍結する法案を衆院に提出した。これまで縷々述べてきたとおり、今の景気・経済は増税に堪えうる状況にはないし、増税決定時に国民に約束した国会議員定数の削減をはじめとした「我が身を切る改革」にも何も手をつけていない状況では、とても国民に負担をお願いすることはできないと判断したからだ。
景気は、4~6月期の大幅な反動減(年率▼7.1%)のあとも、引き続き、回復する気配はない。一番の問題は、GDPの6割を占める「消費」の不振だ。それは「天候不順」といった一時的な要因ではなく、サラリーマン世帯の実収入が12カ月連続で前年同期比減少(9月は▼6.0%)という「構造的要因」によるところが大きい。増税や円安による物価上昇により、家計が実際に「使えるお金」が減っている以上、財布のヒモがかたくなるのは当たり前のことだ。その結果、需要が伸びない、消費が上向かない。サラリーマン世帯の消費支出は6カ月連続で減少(9月は▼7.3%)した。
安倍首相は、事あるごとに、「有効求人倍率」が上がった、「失業率」が下がったというが、それ自体は評価するものの、こうした労働・雇用指標は「遅行指数」だということを認識しなければならない。景気がピークを過ぎ、落ち込みかけた時に、こうした数字は一番上向くのだ。しかし、この数字ですら、9月には「有効求人倍率」が3年4カ月ぶりに0.01ポイント悪化(1.09倍)、「失業率」も0.1ポイント上昇して3.6%となった。以上から、経済が更なる増税に堪えうる状況にないことは明らかだろう。
さらに、消費増税を求める前提ともなる、国会議員の定数削減、国会議員や国家公務員の給与の削減、歳入庁の設置による「取りはぐれ保険料」の徴収策、特別会計の見直し、国の不要な資産の売却等々の歳出削減、歳入の増加策が、安倍政権になってまったく実行されていないことだ。
それどころか、この5月から国会議員の給与が満額支給に戻った。大震災の財源にするため、また、増税決定時に約束した国会議員の定数削減が実現するまでの間、給与2割カットを続けていたのに、与党自民党や民主党までが賛成に回って歳費を約束違反の「満額支給」に戻したのだ。当時の自民党・石破幹事長などは「若手政治家は生活困窮者」とまで称して、それにこだわった。維新の党(当時は日本維新の会と結いの党)は、逆に「3割カット法案」を提出したが「多勢に無勢」、巨大与党等の「ごり押し」に屈するしかなかったのだ。
また、小渕前経産大臣をはじめ「政治とカネ」の問題も続発している。法律で一円単位の領収書が求められ、公開の義務もある「政治資金」(政党や政治資金管理団体等の金)ですら、この体たらくだ。ましてや、月々100万円、年1200万円もの税金が、領収書もなく公開もされず使われている「文種通信交通滞在費」については、尚更のことだろう。維新の党は、そうした問題意識で、先般、文種通信交通滞在費の公開を義務付ける法案を提出(10月22日)した。
しかし、相変わらず、自民党をはじめ他党は反応がにぶい。この4月から消費税は8%に上がり、各種社会保険料も上がり、震災増税も続く中で、国会議員だけが「既得権益」の「ぬるま湯」にのうのうと浸かっていて良いわけがない。「身を切る改革」というが、この程度のこともできずして、国会議員が国民に負担増を求めるなどあってはならないことだろう。仮に、他党から賛同を得なくても、維新の党は、この10月分から率先して自主公開に踏み切ることにした。
以上、維新の党としては、10%増税の施行日は「経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向、名目及び実質の賃金上昇率、完全失業率等、種々の経済指標を確認し、前三項の措置を踏まえつつ、経済状況並びに歳出の削減及び歳入の増加の成果等を総合的に勘案して検討し、その結果に基づいて定められるもの(下線は従来の附則に追加した文言)」とし、その延期、凍結を決める法案を出したのである。
折しも、今日から、安倍首相による10%増税の可否を問う「有識者ヒアリング」がスタートする。維新の党は、この法案を対案として、更なる消費増税について国民的議論を喚起してまいりたいと思う。
【参考】 消費増税凍結法案を衆院に堤出しました(維新の党HP)
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