7月の経済指標も軒並み悪い・・・「地方創生」でバラマキへ!
2014年9月 1日 tag:
やはり、指摘していた通り、7月の経済指標が軒並み悪い。8月30日付の朝刊各紙で一斉に報道された。
安倍政権は、確かに、消費増税の「反動減」で4月~6月期は悪化するが、先行きの見通しは底堅く、さらに、大企業を中心に上がる見込みの6月のボーナスが出れば「反動減」からは脱却し景気は回復軌道に乗るだろうと言っていたはずだ。しかし、見事にはずれた。政府は、今になってあわてて7月の「天候不順」を言いわけにしているが、そんな甘いものではない。
「今週の直言」(8/18)でも分析したが、やはり、増税と物価上昇で可処分所得が減っていることが一番大きい。だから、消費、需要が伸びない。いや減る。当たり前のことだろう。現に、総務省の家計調査によると、7月の「サラリーマン世帯の実収入」は▼6.2%(前年同月比)で10カ月連続のマイナスとなった。これでは今後も「消費マインド」は掻き立てられない。その結果、「消費支出」は 実質5.9%の減少 、悪かった前月比でも実質0.2%の減少となった。
「直言」でもふれたが、今回の増税は、前回の増税(97年4月)とは異なり、8兆円(消費増税3%分)の負担増のみがのしかかるという構図だ。これに復興増税分や各種社会保障料の値上げをあわせれば、さらに国民の負担は増している。前回は、所得・住民減税とセットで増減税イーブン、すなわち、2%増税分(5兆円負担増)と減税分(年間5.5兆円)で負担増は「差し引きゼロ」だった。
この負担増に、安倍政権が採用した「金融緩和」(2%のインフレターゲット)とそれによる円安による物価上昇が国民を追い打ちした。それがこの結果だ。私がなんども予算委で質してきた消費増税への懸念、警告が、残念ながら、当たってしまったようだ。
だから、これから安倍政権は目の色を変えて、「地方創生」の美名の下に、またぞろ「バラマキ」を始めることだろう。8月末で締め切られた来年度予算の概算要求でもそれが顕著だ。ついにその総額は100兆円を超えた(101.9兆円)。つい数年前、民主党への政権交代前の一般会計予算の規模が80兆円前半だったことを思えば、とても消費増税では追いつかない歳出規模が続いている。
なぜか。自民党政権が、民主党の「バラマキ」を批判して政権に返り咲いたものの、一向に「ムダ遣いの解消」はせず、いや、消費増税で財源が出たことを良いことに、それに上乗せした「バラマキ」を続けてきたためだ。本来は財政再建が至上命題のはずの財務省も、ひたすら消費税の10%増税を確かなものにするためにそれに呼応した。現に、公共事業は平年5兆円ベースが倍の10兆円ベースになった。いくら「消費増税は社会保障財源に」とお題目を言い続けても「金に色目がない」のだから止まらない。これも政治の「1強多弱」状況のなせる技だろう。
増税と物価上昇で国民は負担増に苦しみ、しかし景気は回復しない。その間の「バラマキ」で野放図に財政は肥大化し、そして背負いきれない借金だけが残る。この「最悪のシナリオ」に向けて、日本は今、舵を切りつつある。「国破れて財務省あり」。絶対にそうさせてはならない。それが政治の責任だ。
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