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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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シリーズ「集団的自衛権」を考える・・・⑫なぜ日本政府と国際社会の理解が違うのか?!

2014年7月22日  tag:

 あらためて。これまでのことを総括して、「集団的自衛権」とは何かを考えたい。

 「集団的自衛権」の本質、性格をめぐって、学説は3説(パネル①)あり、国際法の有権解釈権を持つ国際司法裁判所は、第二説「他国を防衛する権利」を採っている。一方、安倍首相や日本政府見解は第三説で、それが「異端」であることは以前述べた。

 要は、国際社会の理解と比較して、日本政府は、「集団的自衛権」概念をより広く、「個別的自衛権」概念をより狭く解釈してきたわけだ。

(パネル①)
添付パネル1.jpg


 その解釈を国際標準に合わせて適正化しようというのが結いの党の見解だ。そうすれば今回の閣議決定も「個別的自衛権」の範囲におさまる、従来の憲法解釈との齟齬もなくなるというわけだ。

 パネル②は、内閣法制局長官が、この先週月曜日(7/14)の予算委で明らかにした「明白な危険」の定義だ。「武力攻撃と同様の深刻、重大な被害が及ぶことが明らか」というのは、現行自衛隊法の「防衛出動」の要件(「武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態」)と比べてどこがどう違うのか。そして、安倍首相や内閣法制局は、この閣議決定は「他国防衛」ではなく「自国防衛」のためとはっきり明言している。そう、国際法上は「これって、個別的自衛権だよ!」

(パネル②)
添付パネル2.jpg


 どうして、こんなことが起こるのか?

 パネル③が示すように、従来の日本政府が、左の「自国が攻撃」されたか「他国が攻撃」されたかで、集団的自衛権と個別的自衛権を分けるのに対し、国際標準は、右の「自国を守る」か「他国を守る」かで分けるのだ。だから概念設定、定義が異なってくる。

 「他国が攻撃」されたことが端緒、契機でも、それが結局「自国を守る」ための武力行使であれば、国際標準では「個別的自衛権」とされるのに対し、日本政府は「他国への攻撃」を基準に考えるので、たとえそれが「自国を守る」ためであっても、「集団的自衛権」とされるのだ。分かっていただけただろうか?

(パネル③)
添付パネル3.jpg

シリーズ「集団的自衛権」を考える・・・⑪安倍首相と政府の見解は世界の異端(結いの党見解が通説)
シリーズ「集団的自衛権」を考える・・・⑬「個別的自衛権」と「集団的自衛権」の限界領域が重なってきた