初の安倍首相の施政方針演説への代表質問・・・⑥わが国の平和と繁栄のため戦略的な外交を!
2014年3月10日 tag:
最後に、外交・安全保障についてお聞きします。
日本を取り巻く安全保障環境は、近時、ますます厳しくなっています。テロやミサイル、サイバー攻撃等多様な脅威に対する備えには万全を期していかなければなりません。特に、北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題については、国際社会と連携して厳しく対応していく必要があります。尖閣諸島はじめ南西方面の対処も喫緊の課題です。さらに、国連によるPKOや災害救助、人道援助等にも積極的に参加し、唯一の被爆国として、核軍縮や核不拡散にも主導的役割を果たしていく必要があるでしょう。
そうした中で、安倍政権になってから議論が活発になっているのが「集団的自衛権」の問題です。この議論で危惧するのは、「対米追従」や「普通の国」論、「一人前の国」論といった観念論から、集団的自衛権の行使に踏み込むべきだという話になっていくことです。
この点で、我が結いの党は、「現行憲法下でまずは可能な自衛権の行使のあり方を具体化。必要に応じて法整備」すべきだと考えています。重要なのは、まずは、今の法の枠組みの中で、日本自身が国を自ら守る体制、方途を整備していくことです。その上で日米同盟や国際的な連携をどうしていくべきかを検討する。そういう手順で議論を進めるべきでしょう。
その意味では、「集団的自衛権の前にやるべきことがある」、いわゆる「マイナー自衛権」と称される、武力攻撃に至らない様々な危機、事態への対処について万全を期していく必要があります。正当防衛や緊急避難、またPKO法でいう「自己の管理下に入った者の防護」、警察官職務執行法第7条にいう「他人に対する防護」(海上保安庁法で準用)のためには武器の使用が認められているのですから、例えば、武装漁民による離島占拠や不審船による奇襲、レーダー照射への対処等の具体的ケースに即し、その効果的な対応について検討していくべきです。近年、深刻な問題となっているサイバー攻撃への対処もそうでしょう。総理、こうした「マイナー自衛権」についてのお考えと、それに万全を期す具体的な方策についてお答えください。
そのうえで、集団的自衛権行使の可否については、まずは、日本の防衛及び日米同盟の効果的運用という観点から何が支障となっているのか、具体的なケースを抽出し、そのケース毎に検討していく必要があります。その上で、現行の憲法解釈で不都合があるのかどうかを慎重に検討していく。さきに述べたように、「米国追従」や「普通の国」論で「はじめに憲法解釈の変更ありき」という立場はとるべきではありません。要は、これまで、自民党政権を含む政府の憲法解釈で、長年「個別的自衛権」と「集団的自衛権」との間に引いていた一線(ルビコン川=歯止め)をこえるには慎重にということです。
その意味で、総理は具体的にどのようなケースが「日本の防衛」や「日米同盟の効果的運用」の支障になっているのか、具体的ケースをお示しください。その上で、どうしてそれが「個別的自衛権」ではなく「集団的自衛権」にまで踏み込まないと可能とならないのか、その理由をお示しください。大事なことは、同盟国の米国ですら、決して自衛隊と一緒に前線で戦うことまでを求めていない、せいぜい、その後方支援を中心とした協力を求めているにすぎないことを認識しておくことです。
(次回以降に続く)
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初の安倍首相の施政方針演説への代表質問・・・②「心情倫理」と「責任倫理」 (2014年02月10日号)
初の安倍首相の施政方針演説への代表質問・・・③経済政策と社会政策を峻別 (2014年02月17日号)
初の安倍首相の施政方針演説への代表質問・・・④成長戦略の肝「規制改革」 (2014年02月24日号)
初の安倍首相の施政方針演説への代表質問・・・⑤地域主権が地域おこしに (2014年03月03日号)
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