アベノミクスは早晩、頓挫する!・・・「規制改革」「地域主権」「自由貿易・投資」がカギ
2013年10月21日 tag:
4か月に及ぶ休暇を経て、やっと先週から秋の臨時国会がスタートした。途中、参院選をはさんだとは言え、難問山積
の中、ここまで国会を開かなかった政府与党の責任は大きい。
そして、10月15日、満を持して本会議場に登壇した安倍首相。その所信表明演説は20分と短く中味も期待外れのもの
に終わった。一言でいえば「安全運転」、「やれることしか書かない」「難しいことは一般論で逃げる」。
やはり、私が懸念していたとおり、安倍首相の「長期政権ねらい」がはっきりした。しかし、本当に長期政権を望む
のなら、身を賭して「既得権益を打ち破るんだ!」「俺は短命でも構わないんだ!」くらいの気魄、気概がないとダメだ。
それが結局、長期政権を導く。良い悪いは別にして小泉首相には当時、それがあった。
やはり、安倍首相は「ボンボン」が抜けきらないのだろうか。おまけに、前回の政権が短命に終わったので、よほど
今回は長期で、と思いこんでいるのだろう。首相も人間だからやむを得ない面もあるが、そうなら残念至極だ。
この調子でいくと、一年後の安倍政権、「アベノミクス」は危ないだろう。私は、安倍首相が目指す方向性は支持
するものの、その成否は、ひとえに「既得権益の打破」が本気でできるかどうかにかかっていると思っている。しかし、
残念ながら、来年の今頃は「頓挫」している可能性が高いだろう。要は、安倍首相の言う「第三の矢」、すなわち
「成長戦略」が、歴代政権のように「尻すぼみ」に終わってしまうと想定しているからだ。
何度も繰り返すが、「大胆な金融緩和」「日銀の2%インフレターゲット」は「カンフル剤」でしかない。だから、
このカンフル剤が効いている間に、「実体経済」を動かす「成長戦略」、すなわち「規制改革」「地域主権」「自由貿易・
投資の促進」がないといけないと言っているのだ。
ただ、これらはすべて、「既得権益の打破」なくしてできないものばかりだ。「規制改革」なら、例えば、農業への
株式会社の参入、発送電分離等の電力再編自由化、医療や介護、子育てへの一層の民間活力の導入等が
必要不可欠だ。しかし、これらを本当に実現しようと思うのなら、「農協」「電力会社」「医師会」「福祉団体」等の抵抗、
その「岩盤」を打ち砕く必要がある。これらはどれも安倍自民党の強力な支持基盤ではないか。規制で守られている
人たちのすさまじい抵抗、「岩盤規制」と称される所以だ。
「地域主権」、すなわち、「権限」「財源」「人間」の「三ゲン」を基礎自治体(市区町村)に移譲しようとすれば、
これに加えて、霞が関官僚、族議員等の「抵抗勢力」を押し切らなければならない。しかし、今の自民党は、民主党
政権が昨年末策定した、国のブロック機関の一部、すなわち、地方整備局、経済産業局、環境事務所を地方の「広域
連合」へ移管する法案ですら、まったく見向きもしていない状況だ。その背景には、「国土強靭化」を推進する土建
政治家たちが自らの権限を手放したくないという事情がある。国土交通省の「地方整備局」は、その中核的な「推進
機関」なのだ。
「自由貿易・投資の促進」でも、TPP、FTA等を推進しようとすれば、「規制改革」と同じような「抵抗勢力」
の存在がある。今、自民党内では、その公約で聖域とされた「重要五品目」(コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物)
の中のいずれを譲る譲らないで内紛が起きているようだが、その程度のレベルの議論で揉めているということ自体が、
この国際的な「大競争時代」の荒波の中で、将来、日本が生き残れるかどうかの瀬戸際に立っているという危機意識が
ないと批判されてもしょうがないだろう。
「規制改革」による新規参入で、あらたな企業、産業を作り、衰退産業を生き返らせる。「地域主権」で、中央官僚
のピント外れの施策ではなく、地域毎の実情に応じたきめ細かい施策が講じられるようにする。「自由貿易・投資」で、
世界の市場を内需化する、国際競争に打ち勝てるようにする。こうした真の意味での「成長戦略」「第三の矢」を放た
なければ、安倍政権の将来はおろか、日本の将来はないだろう。
そうした強い問題意識で、政治家・江田憲司、これからもしっかりと行動してまいりたい。
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