米中首脳会談・・・こんどは日米同盟を確固とする番だ
2013年6月17日 tag:
オバマ大統領と習近平国家主席が、二日間にわたり、ノーネクタイのリラックスした雰囲気で8時間も会談したという。それだけで、何事につけてもビジネスライクのオバマ大統領としては異例中の異例のことだ。
それだけ米国に、尖閣や南シナ海をめぐる緊張状態や中国発といわれるサイバー攻撃等への懸念が強かったということだろう。「日本置き去り」とか「日本頭越し」といった批判や懸念はあるが、まずは、この二大国が一触即発の、偶発的な紛争を避けるために信頼関係を構築したとするなら、我が国にとっても喜ばしいことだろう。
中国が唱える「新しいモデル(新型)の大国関係」とは、まだまだ中味のないスローガン的なものにすぎない。発展過程や価値観の違う大国同士は、得てして、過去の例からすると対立の図式となり、現にそれが戦争や紛争につながってきた。それを、今後は、そうした歴史の繰り返しにならないように、両国首脳が胸襟を開いて最悪の事態だけは避けようとする共通認識に至ったとすれば、アジア太平洋、ひいては世界平和にとって好ましいことだからだ。
何も日本はあわてる必要はない。安全保障という観点からいえば、中国の「A2AD(接近阻止・拒否)戦略」、特に、第一列島線の域内から米軍の影響力を排除しようとする中国の動きに対抗するためには、米国も日米同盟を基軸に軍事的戦略を練らざるを得ない。中国にとっては、96年春に起こった中台危機、その時に米空母二隻が台湾近海にまで示威行動のために展開したことがトラウマになっている。それを教訓に、今後、潜水艦や対艦ミサイル、空母等の軍事力を増強してくるだろうから、それを押し戻す米軍の戦略が必要になってくるのだ。この点では、96年以来、そのままになっている日米ガイドラインの見直しを含め日米同盟の深化に努めていくべきだろう。
経済の面ではTPPがある。今回の首脳会談でも、中国がTPPへの関心を示したようだが、今の中国の現状は、とてもTPP等が体現する市場経済ルールに則った自由貿易、自由投資を受け入れられる状況にはない。これも日本がTPP参加を決めて、アジア太平洋地域の経済、貿易ルールを日米主導で決められてはかなわないという中国の焦りの表れだろうが、この際は、将来の中国参加も見据えて、日米が協力して、中国を「封じ込め(containment)」ではなく「取り込む(engagement)」でいくよう、TPPを主戦場にルール作りに励んでいけば良いのだ。
事ほど左様に、安全保障面でも経済面でも、米国にとって日本は対中国で不可欠のパートナーだ。ただ、確かにそれに安住することなく、日本は日米同盟を、アジア太平洋地域の基盤を、さらに確固とするよう努力していくべきであろう。
Copyright(C) Kenji Eda All Rights Reserved.