日銀総裁人事が山場を迎えている。今週、安倍首相は具体的な人選を提示するだろう。我々みんなの党は予てから 申し上げている通り、物価目標2%の達成を含む、大胆な金融緩和を不退転の決意でやり遂げる方が相応しいと考えている。
常識の部類に属する話だが、国際的にみると、中央銀行のトップは、一つには経済学のPh.D.(博士号)を持っている こと、二つ目に、英語をはじめ当然語学ができること、それから、日銀という大組織のトップとしてマネージメント能力が ある、ことが求められる。こうした条件は、一々掲げるまでもない当たり前の話で、およそ日銀総裁にでもなろうという方に突きつける条件としては失礼な話でもある。
例えば、米国FRB議長のバーナンキさんはMITのPh.D.。それからECB、ヨーロッパ中央銀行のドラギさんも同じくMITPh.D.。今度イングランド銀行の総裁になる、カナダ中央銀行総裁のカーニーさんもオックスフォードのPh.D.。もっと言えばお隣の韓国のキム・ジュンス総裁も、ペンシルベニア大学のPh.D.を持っているのだ。
おまけに、G5とかG7にいくと、当然通訳やお付きなしで議論する。そんな所に、まず英語が流暢に出来ない人は論外。Ph.D.を持ってないなんて、要は日銀総裁が日本語を喋れないと同じくらい論外な話なのだ。
したがって、私は、これらに加えて、金融は「金融マフィア」と言われるように高度にプロフェッショナルな世界だから、 そこでしっかりと知識・経験がある、インナーの世界に国際的な人脈も持っているということも必要だと言っているのだ。 そして、何よりも重要な資質が、「市場との対話能力」があるということだ。
こうした資質、能力は、教科書を読んだだけでは達成できないし、「はい数年間、金融の世界におりました」というだけ では得られない。若い時から金融市場に身を置いて、知識はもちろん経験を積むことによって、市場の微妙なシグナルをいち早く感じ取り、それに対し的確な対応をしていくことができるのだ。「市場との対話能力」は一朝一夕では養われない。
以上指摘した資質・能力を具備した方でなければ、中央銀行の総裁は務まらない。財務省OBがダメだ云々という私の発言の真意は、正確に言えば、財務省OBの方はこうした資質・能力・条件を具備していないという事を申し上げているわけだ。財務省OBは何が何でも、理屈もなくヘッタクレもなくダメだと言ってるわけではなく、大蔵省や財務省、特に主計官僚・予算畑、税務畑で育った方が、およそこの市場との対話能力があるとか、プロフェッショナルな金融の世界で人脈や経験があるとか評価できないからダメだと言っているのだ。(来週に続く)
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