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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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問題は持続可能かどうかだ・・・「補正予算」「緊急経済対策」への評価

2013年1月21日  tag: ,

 安倍政権が「緊急経済対策」を発表し、そのための13兆円超の補正予算も決めた。「3本の矢」、すなわち、①大胆な金融緩和、②機動的な財政運営、③規制改革等の成長戦略、という「基本的方向」は良いだろう。特に、2%の物価目標(インフレターゲット)の設定を含む大胆な金融緩和については、ここ数年来、我がみんなの党が訴えてきたことでもあり、それなりに評価できる。

 ただ、問題は、将来にわたって持続可能な景気回復、経済成長をどう成し遂げてくかだ。「公共事業」はカンフル剤でしかない。打てば確かに効くが打ち続けるわけにはいかない。やはり「官需」より「民需」、民間主導の自律的な景気回復、経済成長を実現していかなければならない。すなわち、カンフル剤が効いている間に「成長戦略」の具体的展開が必要不可欠となるのである。

 そのためには、大胆な規制改革を本当にやり、新規参入の促進や設備投資の活性化を図っていく、法人減税や投資減税(自由償却)でそれをバックアップしていく、TPP、FTA等の自由貿易・投資を促進し外国市場を内需に取り込んでいく、こと等が重要となる。

 特に、安倍「自民党」政権が、真に「大胆な規制改革」(「規制改革会議」を設置)を断行できるか否かが、その試金石、鍵となるだろう。将来の成長分野とされる「医療・福祉」、「電力・エネルギー」、「農業」、そうした分野には規制で守られた「既得権益」がある。そこから票やお金をもらっている自民党にそれが本当にできるのか!?

 さらに、「金融緩和」についても、その決意表明が「及び腰」「屁っ放り腰」だと市場に判断された途端に、昨年の「バレンタインプレゼント」の二の舞になる。昨年の2月14日、日銀は1%の物価上昇率の「目途」をはじめて示し、一時的に円は4円以上安くなり、株も1000円以上高くなったが、一ヶ月後にはまた元に戻ってしまった。そう、その決意が「見せかけ」だけのものであり、具体的な実効ある緩和策がとられなかったからである。

 したがって、今回の「2%の物価目標」も、政府と日銀との間で協定を結び、そこに明示するとともに、その達成状況はしっかりレビューし、未達の場合は、さらなる措置を講じるよう日銀に促すべきである。そして、どうしても目標達成ができない場合には総裁等幹部の責任も問えるようにする。当面、安倍首相は、経済財政諮問会議でこうしたチェック&レビューを行う考えのようだが、これまでの日銀のビヘイビア―、行動パターンからすると、やはり、日銀法を改正し、こうしたスキームを制度的に担保する必要があるとみんなの党は考えている。

 また、今回の10兆円超の財政出動については、「財政規律」との関係でも問題がある。自民党も、民主党と一緒になって、消費増税時には「社会保障の財源が足りない」「財政再建が急務」と国民に説明しておきながら、政権をとったら、手のひらを返したように公共事業の大盤振る舞いはする、そのための多額の国債発行はする。一方で増税路線は放棄しないのだから、これは、あたかも、暖房と冷房を同時にかける、アクセルとブレーキを同時に踏むようなもので支離滅裂だ。

 みんなの党も将来の増税をまったく否定するものではないが、ここ3年ぐらいは「集中経済再生(景気回復)期間」として増税は凍結し、景気回復に専心すべきと考えている。「復興増税」にしても、そもそも千年、百年に一度の大災害には国債で対応するのが世界の常識だ。増税で現世代だけに重荷を負わせるのではなく、将来世代にわたって「課税の
標準化」をする。中途半端が一番いけない。

 その上で、プライマリーバランスの黒字化への道筋を示すべきだろう。このアベノミクスによる成長戦略が効を奏せば、成長により税収はあがっていく、これをどう見積もるか。さらには、ムダ遣いの解消、国有資産の売却、特会の埋蔵金等の税外収入等も出していく。かねて、みんなの党が訴えてきた「国債整理基金」の10兆円、労働保険特会の4兆円、歳入庁、共通番号制導入による10兆円の「消えた保険料」、さらには、年金(62万)、健康保険(121万)の月収上限撤廃等の保険料徴収増対策、、、。徹底的に洗っていく必要があるだろう。そうした中長期の財政展望もしっかり策定すべきなのだ(来週に続く)。

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「補正予算」「緊急経済対策」への評価・・・公共事業のバラマキと官民ファンド