ギリシャ経済は、2006年から奈落の底に落ちていった。
世界を震撼させた「リーマンショック」は2008年であり、ギリシャの政権交代で財政の粉飾決算が露呈し信認が落ちたのも2009年の話だ。だから、ギリシャ経済はそれ以前から破綻への道をたどっていたことになる。
なぜか。それはこの年から消費税を上げ、緊縮財政に舵を切ったからだ。2010年までに、18%だった税率を23%にした。
ギリシャは、日本以上の「公務員天国」である。国民の4人に1人が公務員であり、給与水準も民間企業の2~3倍。
おまけに年金も現役時代の給料並みに支払われる。ここにメスを入れずして増税だけ行なったために財政危機に陥った
のである。
また、観光・海運業以外に稼ぐ力も養わず、経済成長戦略もなく増税したから破綻したのである。財務省流の「数字
の辻褄合わせ」を増税でしようとしたら、実体経済から見事な「しっぺ返し」を喰らってしまったというのが本当のところ
だろう。
これは、どこかの国と似ていないだろうか? 「公務員制度改革」や「天下りの根絶」「ムダ遣いの解消」などを約束しながら、ほとんど何もできていない。さきに述べたとおり、「経済成長戦略」もほとんど中味のないものだ。にもかかわらず、財務官僚の言いなりに野田政権は「消費税の増税」だけを強行する。そう、今、日本がやろうとしていることは、まさに、
この「ギリシャの二の舞」なのだ。
今、我々の目の前にあるものは、「十数年に及ぶデフレ経済」に「大震災と原発事故」が襲い、ユーロ危機で「世界恐慌の足音」さえ聞こえてきているという現実だ。この「三重苦」で国難の中にあり、わが国が破綻の危機に瀕するいまこそ、一人でも多くの国民が財務省のマインド・コントロールから解き放たれてほしいと願うばかりだ。
一体、この増税法案の結果、日本がギリシャのように国家破綻への道をたどるようになったら、誰が責任をとると言うのだろうか。野田首相も安住財務相もその時はとっくに政権の座にいないだろうし、いつも言うだけで責任をとらない、いや、とりようのないメディアなどに責任と言ってもむなしいだけだろう。そう、最後は、国民自身がとるのである。
(VOICE9月号に掲載された江田インタビュー記事)
※江田けんじの拙著「財務省のマインドコントロール」はこちら
数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く①・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より
数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く②・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より
数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く③・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より
数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く④・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より
数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く⑤・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より
数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く⑥・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より
数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く⑦・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より
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