また、財務省の絶大な影響力は、国内だけでなく海外にも及んでいる。その典型がIMF(国際通貨基金)だ。日本は
世界第二位の出資国で、ナンバー3にあたる副専務理事のポストには歴代財務省出身者が就き、出向者も大量に出し
ている。
そして、日本への要求などは、彼らが書いている。日本が国際的な圧力に弱いことを利用しているのだ。たとえば二〇一二年一月に、IMFの幹部が「一〇%への消費増税は歓迎だが、将来は一五%にすべきだ」という見解を示したのも
その一環だ。
経済産業省もOECD(経済協力開発機構)を通じて自らの要求を発信し日本に圧力をかけるのであり、これらは役所の常套手段である。
ちなみに、IMFはこれまで破綻の可能性が高い国に対しては、判で押したように「増税」と「緊縮財政」を提言してきた。しかしギリシャ危機やユーロ危機によって、それではうまくいかないことが分かってきたため、G8やG20では「経済成長」と「雇用促進」重視に転換している。
新聞・テレビなどの大手メディアも、このような財務省の情報操作をそのまま報じる。財務省のマインド・コントロールに
かかっていることに加え、メディアも株式会社であり、経理的にいろいろな"すね傷"をもっているからだ。大新聞のなか
には、財務省からの天下りを監査役に受け入れているところもある。
実際、今回の消費増税に関し、『日本経済新聞』『読売新聞』『朝日新聞』などはみな賛成の論陣を張った。露骨なことに、唯一、反対を表明した『東京新聞』にはほどなくして大々的な査察が入り、修正申告をさせられている。財務省の権力を見せつけられた一件といえるだろう。
(VOICE9月号に掲載された江田インタビュー記事)
※江田けんじの拙著「財務省のマインドコントロール」はこちら
数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く①・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より
数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く②・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より
数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く③・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より
数字の辻褄合わせ」増税は破綻を招く④・・・月刊誌「Voice」九月号(PHP研究所)より
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