6月26日、極めて遺憾なことだが、消費税増税法案が民主、自民、公明等の圧倒的多数の賛成で衆議院を通過した。賛成した議員は全員、今後、この国で起こるであろう、すべての結果に重い責任を負わなければならない。メディアも同じだ。
この法案が標榜する「社会保障と税の一体改革」。国民が待ち望む「医療や年金等社会保障の抜本改革」は先送り
して、消費増税だけはきっちり決める。まさに、公約をかなぐり捨てて、ひたすら財務官僚の言いなりで「増税一直線」に
突き進む野田政権、ここに極まれりだろう。それに自民党という元々財務省の傀儡政党が加担した。
そう、「一体改革」なんて称する方がおこがましいのだ。民主党が政権交代マニフェストで約束した「最低保障年金」
も「後期高齢者医療制度の廃止」も、その是非はともかく、元々、この法案には入っていなかったのだから。国民は誰
ひとり、今回の法案通過で「持続可能で安心の社会保障」が確立したとは思わないだろう。結果、将来不安が払しょく
されて、国民が消費を拡大する、景気が浮揚する、「増税で景気が良くなる」(菅前首相)なんてことも絶対にないわけだ。
そして今、「談合3兄弟」と揶揄されながら、ここまで「3党密室協議」で増税に突き進んできた魂胆が明らかになって
きた。そう、民主党は新幹線に3兆円超、高速道路は第二名神はじめ作り放題。自民党は10年間で200兆円、公明党までが10年間で100兆円の公共事業バラマキ。財務省も増税を通したいばかりに各党に暗黙のコミットを与えている。
90年代の公共事業主導の経済回復があれだけ失敗したのに、「のど元過ぎれば何とやら」。自民党の「国土強靭化
法案」なるものは、古賀誠氏、二階俊博氏といった古参政治家が主導していることからも、「土建利権国家よ再び!」
であることは明らかだろう。この国には、どこまでも「懲りない面々」がいるようだ。
野田さんは野党時代、良いことを言った。「シロアリを退治しないまま増税しても、そのお金はシロアリに喰われるだけだ」。そのとおりのことが起ころうとしている。
ちなみに、みんなの党は、「民間主導の経済成長」だ。経済は「資本+労働+技術革新」で成長する。この原点にかえった、特に資本ストックの増強、すなわち、設備投資の活性化を「規制改革」で実現するのだ。規制=官僚の手かせ
足かせを取り払い、福祉や農業、電力・エネルギーといった成長分野に株式会社やNPOなどを参入させる。これは既得権益の打破につながり、そこから票やお金をもらっている民主や自民には絶対にできないことだ。さらに「技術革新への
重点投資」と「大胆な金融緩和」、この3本柱で経済を民間主導で成長させれば、そこにシロアリは巣食わない。ここが
民自公とみんなの根本的な違いだ。
話を戻そう。国民やメディアの中には、財務省が本気で財政再建をしようとしている、と誤解している人が多い。とんでもないことだ。彼らも「夢よもう一度!」、大震災後の国民の気持ちに付け込んで今増税しておけば、将来、景気が良くなり増収になった時に、またそのお金を差配できる、「大蔵一家」(天下りで80歳まで人生安泰システム)を盤石にすることができる。それが本音だ。国の借金1000兆円は、こうした財務省と政治家との貸し借り勘定の結果、すなわち、財務省の
省益を守るために政治家へ「アメ」をしゃぶらせ、あわよくば、そこに天下る、組織防衛を図る、こうした繰り返しが、ここ
まで財政を悪化させた真の要因である。
最近、財務省に関する本の出版が盛んである。拙著「財務省のマインドコントロール」もおかげさまでベストセラー(7刷6.5万部)となったが、同じ財務省本で、「財務省がそんなに強かったら、こんなに借金、財政赤字がたまっているわけが
ないじゃないか」という財務官僚の口癖を真に受けて、それをそのまま書いている「能天気でおおらかな」元労働官僚も
いる。
しかし、失礼ながら、首相官邸という政権中枢に勤務したこともなく、当の財務省(大蔵省)と真剣勝負で戦ったことも
ないような元官僚が、財務省を語る資格はない。なぜなら、財務省の本当の正体なぞ知る由もないからだ。
このシリーズでは、こうした財務省の巧妙な「嘘」を徹底的に暴いていきたいと思う。もちろん、情緒的な反駁ではなく、具体的な数値・データ、海外の事例、歴史的事実等を駆使したものなる。いわば拙著「財務省のマインドコントロール」の続編だ。
まだ遅くはない。日本で一人でも多くの人が「財務省による洗脳から覚醒」すれば、衆院通過し、近い将来成立する
であろう「消費増税法案」も、次期衆院選(年内想定)、参院選(来年夏)をへて、必ず、廃案へと追い込むことができる
だろう。
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