教育行政の責任は教育委員会か?首長か?・・・大津市いじめ問題の教訓
2012年7月17日 tag:
大津市のいじめの問題は、知れば知るほど根の深い問題です。私も、小学校5年生と1年生の子供を持つ親として、
実に多くのことを考えさせられます。
本件で、学校の責任が重大なのは当然です。相変わらずの隠ぺい体質。まるで「原子力村」と同じです。しかし、身内を守る「組織防衛」、「事なかれ主義」といった性向は、何も原子力や教育の分野だけでなく、この日本で、いや、世界で、人間の世界で、多かれ少なかれ、どこにでもある現象なのかもしれません。
だからこそ、第三者機関が必要になる。公正中立な独立機関。しかし、本件の場合、本来、その役割を果たすべき教育委員会が、まるで機能を果たしていない。どころか、当事者の学校と共犯になっている。
やはり、これまで指摘されてきたとおり、教育委員会が形骸化しているとしか言いようがありません。だって、大津市長が調査委員会を設けるなんて、まさに本来は教育委員会の仕事でしょう。いざという時に役に立たない組織など廃止した方が良い。
会見に出てくるのは「教育長」という、教職員、公務員のボスばかりで、教育委員長や教育委員の姿かたちが一切見ら
れない、という事実が象徴的です。地元の名士というばかりで名誉職的に任命し、受ける方も、大して教育的知見もない
のに軽い気持ちで受けてしまう。覚悟も責任感もないから、こうした大事件が起こった時は逃げ隠れてしまう。全部とは
言いませんが、今回の事件を受けて、そうした教育委員の方には即刻辞表を出していただきたいと思います。そして、
早急に委員を全国で委嘱し直すぐらいのことをやらなければだめでしょう。
教育委員会制度は、戦後(昭和23年)、教育行政の民主化、政治的中立性、地方分権等の観点から、米国の制度に
ならって導入されました。当初は「公選制」、すなわち、選挙で教育委員は選ばれていたわけです。しかしながら、国民の
教育委員会制度への関心の低さから投票率が低い、そうなると組織内候補が勝つ、教育の場合は日教組の候補者が
勝つ、資金力、組織的地盤のあるものに限られる、といった理由で現在のような首長の任命制になりました(昭和31年)。
そうしたら、逆に、文部科学省を頂点にする、教育官僚の牙城になってしまったのです。教育委員長や教育委員は
名ばかりで、実際は、教育長という、多くの事務局官僚を従える官僚のボスが取り仕切る。教育委員は非常勤で兼職可
だから、実際は教育長以下の教育官僚が立案する方針の追認機関でしかない。
ですから、今後の対策としては、もう一度、教育委員会制度をよみがえらせるか、いっそ廃止して、首長の下で仕切らせるか、その二つしかありません。こうした観点から、我がみんなの党は、国会に今年はじめ「地方教育行政改革の推進に関する法律案」を提出し、この教育委員会の必置規制を廃止し、各自治体の判断で置くかどうかを決められる、すなわち、上記、二つを選択できるようにしようと提案しています。
橋下徹大阪市長のように、教育行政は市政の中心だから、最終的に市民に責任を負うべき、選挙で選ばれた首長が
自ら執行すべきだ、という自治体はそうすれば良いし、いや、やはり、教育の政治的中立性を確保するためには、やはり、
独立した第三者的な機関が必要だ、という自治体は、引き続き教育委員会を置き、そのバージョンアップを図ればいいでしょう。要は、その地域地域の実情に応じて、その地域の自主的判断に任せる。
これも「地域主権」の一環です。
これまで、学校や教育委員会の責任ばかりを書いてきましたが、やはり、加害者の親の責任も大きいと言わなければなりません。ここまで悪質な「いじめ」、と言うか、「犯罪」にまで及ぶような事態が生じているのに、どういうわけか、親が注意や自制を求めた形跡がない。どころか、報道によれば、学校側の事情聴取に「うちの子供が自殺したらどうしてくれる」と迫ったと言います。これで、学校側の動きがピタッと止まった?
こうした場合、先ほど書いたように、二人の小学生を持つ親としては、当然のことながら、「うちの子供は大丈夫かな」と思います。こうした事件が起こらなくとも、「いじめ」はこれまでも、特に公立の学校で多発してきたので、うちのように公立に通わせている場合、常日頃、親として、注意深く、子供の言動をウオッチしています。
我が子がいじめていないか、いじめられていないか、親として日々子供とコミュニケーションをとっていればわかろうと言うものです。これは、こうした事件が起こったから恰好をつけて言ってるのではなく、当然のこととして言っています。よく言われることですが、学校と家庭、地域、こうした子供がいる場、すべてが力をあわせて「子供を育てる」、これが本当の教育だと思います。学校だけの責任にするわけにはいきません。
今回の件を、また「一過性の問題」で終わらせてはいけない。それが政治家の責務だと痛感しています。
(シリーズ/財務省の増税マインドコントロールを暴く!は今週はお休みします。)
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