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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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消費税増税法案への代表質問(衆院本会議5/11)・・・「完全バージョン」(上)

2012年5月14日  tag: ,

 消費税増税法案が、先週から本格審議入りした。

 5月11日、私はみんなの党を代表して質疑に立ったが、議席数の関係で持ち時間はたったの5分。なるべく、言いたい
こと、質したいことを凝縮したつもりだが、やはり、言葉足らずで終わった点もある。

 引き続き、特別委員会で我が党の考え方に基づいて野田政権を問い質していきたいと思っているが、ここで、実際の
本会議場では時間の都合上割愛した部分も含めて、「完全バージョン」を皆さんに供したい。ここに「増税、是か非か」
という論点はほぼ出尽くしていると考えるからだ。
 

(以下「完全バージョン」)
 
 
みんなの党、江田けんじです。

 総理!あなたは昨年の所信表明演説で「今日生まれた子ども一人の背中には、既に700万円を超える借金がある」
と嘆いてみせました。これを聞いた国民は「我々のせいで子供にこんな大きな借金を背負わせているのか」と罪悪感すら
感じ、「増税やむなし」と考えた人も多いと思いますよ。

 しかし、そうおっしゃるなら、なぜ、同時に「500万円の財産・お金を持って生まれてくる」と付け加えないんですか。
それが当たり前のバランスシート、貸借対照表の考え方というものです。バランスシートの右側だけを取り出して大変だ
大変だと言うのなら、どの会社だって明日倒産ですよ。あの優良企業のトヨタだってそうです。19兆円の負債があるん
ですから。でもトヨタは倒産しない、なぜなら資産が30兆円あるからです。当たり前の話です。

 国も同じです。国は、財政の透明性を度々指摘されて、十数年前から「国のバランスシート(国と地方の連結)」を作成、公表してきました。それによれば、確かに負債は1100兆円ありますが、資産も800兆円で世界一です。この数字にも
ふれないと、とてもフェアーとは言えないでしょう。国民をミスリードする!お答えください! 総理。

 また、日本の海外純資産は250兆円、外貨準備も100兆円、国全体の金融資産も5600兆円、経常黒字も17兆円、これでどうして「増税しなければ財政破たん」なんですか?財務省も、私とまったく同じ数字をあげて、日本国債の格付けが
下げられた時、海外には「日本経済のファンダメンタルズは強固だ」「日本国債のデフォルトは考えられない」と主張
しているじゃありませんか。

 一方、国内では「借金1000兆円でGDPの二倍だ」と言って国民を脅す。完全な二枚舌ですよ。総理、説明してください。ただし、「それは10年前の話」と逃げないでくださいよ。10年前より、海外純資産等の数字は、良くなりこそすれ悪くなっていないんですから。また、「自国通貨建ての国債はデフォルトしない」という当時の財務省の主張は財政金融「理論」
であって、月日の経過で変わりませんので、念のため。

 ですから、私は、こうした意図的な情報操作を財務省の「増税マインドコントロール」と呼んでいるのです。国民には、
増税に都合の良い数字しか言わない、増税に「不都合な真実」はあえて隠す。原発事故の時もそうでした。ただ、この
マインドコントロールという言葉、何も私だけが使っているわけじゃありませんよ。ついこの前まで御身内だった、
前総務大臣片山善博さんもこう言っているじゃありませんか。

 「多くの与党議員が財務省にマインドコントロールされている。メディアも同じだ」

 「野田政権になってほとんど自民党時代に戻ってしまった。野田さんとは一年間付き合ったが、財務官僚が設定した枠を超えられなかった」

 総理、何か、反論がありますか? 違うとおっしゃるなら、片山さんが嘘をついているということですね。じゃあ、そうした嘘をつく人を、なぜ、野田政権の「行革懇談会」のメンバーにしたんですか?お答えください。

 みんなの党は、「増税の前にやるべきことがあるだろう!」、結党以来、一貫して訴えています。

 今、日本はデフレで景気が悪いんですから、そこに大震災と原発事故が追い打ちをかけ国難にあるんですから、まずは復旧・復興、そして、景気を良くして経済を成長路線に乗せる、税収をあげる、それが最優先課題でしょう。

 こんな時に増税すればさらに景気が悪化し税収が下がる。結局、復興財源も、社会保障財源も調達できない。当たり前の話です。現に、97年増税時に54兆円あった税収が今や42兆円。これが「歴史の真実」なのです。確かに、小泉政権時に行った「税源移譲」で3兆円、法人減税で1.7兆円の減収要因はありますが、それを加味しても、なお、増税しても国税の
税収が下がったという事実は動かし難い事実です。

 野田政権と財務省は、消費税を5%上げたら13.5兆円増収になると単純計算していますが、これこそ「とらぬ狸の
皮算用」ですよ。経済は生き物です。ポールクルーグマンもレスターサローも浜田宏一先生も、今日本で増税は
「クレージー」だと口をそろえて指摘しています。そう「世界の非常識」なのです。浜田先生の言葉を借りれば「まるで
重病人に増税と言う重荷を背負って歩けというようなものだ」。まさにその通り。総理、何か反論がありますか?

 97年の増税時、当時の橋本首相も「増税の経済への影響を聞いても大蔵省からはまともな回答がない」と
嘆いておられました。今回の消費増税の経済への影響について、総理、定量的に答えてください。

 次に、増税の前に、国民に負担を求める前に「隗より始めよ」、国会議員や役人が身を切る改革を断行すべきでしょう。みんなの党は、国会議員の大幅定数削減(衆院180減・参院142減)、歳費月額3割・賞与5割カット、国家公務員の人件費2割カット、天下りの根絶や国債整理基金の10兆円を超える剰余金の活用、歳入庁設置による税や保険料の増収策
などを提案しています。それぞれにつき、総理の見解を求めます。国会議員の歳費も公務員の人件費も、民主、自民、
公明の三党で合意したような、ささやかながらのカット、しかも2年限りなどといった姑息なやり方では、とても国民の
理解は得られませんよ。(次週に続く)
 
【参考】
 ・本会議代表質問の様子はこちら
 ・前回(2012年3月6日)の予算委員会の質問はこちら(代表質問の内容をさらに細かく追及しております)
 ・江田けんじの拙著「財務省のマインドコントロール」はこちら
 

今後の政局・・・(上)6月、9月解散のうちどちらか
消費税増税法案への代表質問(衆院本会議5/11)・・・「完全バージョン」(下)