今後の政局・・・(上)6月、9月解散のうちどちらか
2012年5月 7日 tag:
連休明けから、消費税増税法案の審議が本格化する。私も、11日の本会議での代表質問を皮切りに、特別委での審議にも積極的に参加し、その是非を徹底的に議論していきたいと思う。
とにかく、今は、財務省が野田首相や一部メディアを操って主導する「増税一直線路線」か、小沢一派の党内政局、
権力闘争のための「増税反対論」しか報道されない。我々みんなの党のような、具体的なデータ、過去の経緯、諸外国の状況等を網羅的に加味した「真っ当な増税反対論」がほとんど報道されないのが実情だ。
しかし、拙著「財務省のマインドコントロール」が、発売1ヵ月で7刷・6,5万部になったように、「増税」に対する国民の関心は極めて高い。増税「賛成」「やむなし」「反対」、メディアは、それぞれの立場・主張に即し、公平公正、多角的な報道に努めてほしいと心から思う。
この「消費増税法案」をめぐって、今後の政局は連休明けから一気に動く。その山場は、6月の会期末付近、それが
過ぎれば、9月の民主党代表選前後、ということになるだろう。どちらかと言えば、後者の可能性の方が強まってきた
感じだ。
まず、「6月政局」。多少、状況によっては会期延長で時期がずれ込むことはあるだろうが、この「政局」の範囲内だ。
ポイントは、野田首相も谷垣自民党総裁も「呉越同舟」、同じ船に乗っているということだ。そして、その船は、ひたすら
9月の民主党代表選、自民党総裁選という「ナイアガラの滝」に向かって一直線に突き進んでいる。このまま、何もできず、この船に乗っていれば、二人とも、ナイアガラの滝壺に真っ逆さまに落ちてしまう。そう、お互い、同じ運命をたどる
危険性を共有しているのだ。
特に、野田首相の支持率は、軒並み、20%台にまで落ち込んでしまった。このまま増税法案を通せず、9月の代表選を迎えたら、絶対に野田再選はない。多くの民主党議員が、表紙を代えれば、また「ご祝儀相場」が出て、民主党政権は
リセットすることができる、いや、そうするしかないと考えるからだ。そして、そのことを一番わかっているのが野田首相
自身だ。
一方、谷垣総裁とて同じことだ。そうでなくても、民主党がこれだけひどいのに、自民党の支持率は一向に上がらない。谷垣氏の性格もあって国民へのアピールがまったく足らない。そうした中で、野田政権を解散総選挙に追い込めなければ、落選議員を多く抱える自民党がトップを代えようと思うのも必然の成り行きだからだ。
だから、この二人、滝壺に落ちる前に、お互い手に手をとりあって、この船から脱出しようとする「力学」が必ず働くだろう。そう、いわゆる「増税大連立」という荒業で「消費増税法案」を談合で通してしまおうという魂胆だ。既に、某自民党
幹部が、民主党の某幹部と水面下で話し合いを続けていることは、永田町ではもう半ば公然となっている。
その場合、表向きは「ガチンコ」で裏で手を握る場合もあるだろうし、いや、もう面倒くさい、世間もおおよそ感づいて
いるんだから、表向きにも手を握って堂々と増税法案を通せば良いという場合もある。また、選挙の前に表向き握る
場合と、裏で申しあわせた上で選挙をし、その後に手を握り増税法案を通すという手もある。そんなものは、この「政局」の応用動作の範囲内だろう。
ただ、いずれにせよ、野田首相が自民党に「解散総選挙」を約束しない限り、上記のディールは成立しない。また、
選挙をする以上、その結果、民主党が敗北、下野することは確実だから、いわば、野田首相が「消費増税」のために
「身を捨てる」ことが必要不可欠になる。選挙前に手を握り法案を通す場合は、野田首相に自民党が花を持たせることになるが、選挙後に「増税大連立」で法案を通す場合は、谷垣首相、野田副首相の体制となる(実際に自民党某幹部が
こうした人事案を持ち歩いている)。
だから、このケースのポイントは、野田首相がそこまで「身を捨てる覚悟」があるかどうかだ。野田さんが解散総選挙
という「伝家の宝刀」を抜いてまで、また、民主党を下野させ、自らが首相の座を降りてまで、消費増税法案を選挙後に
通し、実質上、消費税を8~10%にあげた首相として歴史に名を残す、と野田首相が割り切れるかどうかが、ここでの
ポイントになる。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」だ(次週に続く)。
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