歴史の証言/消費税3%から5%への道程・・・③「増税」を訴えて選挙に勝った
2012年4月16日 tag: 増税
消費税3%から5%(97年4月)への道程こうしたプロセスを丁寧に踏んだ後、その集大成として、96年10月、消費増税を訴える総選挙を断行したのである。増税時期(97年4月)の半年前だった。
この時の選挙戦は、小選挙区導入後初の衆院選で、私は政務担当総理秘書官として全国の総理遊説にすべて同行
した。当時は、ルーズソックスをはいた女子中学生までが「龍ちゃん!」と黄色い声援をおくるほどの「橋龍人気」だった。結局、この時、全12日間の選挙期間中110か所で橋本首相は遊説したのだが、そのすべての場所で「消費税の5%への増税」を有権者に真剣に訴えたのである。
この時の選挙戦の相手は、鳩山・菅民主党と小沢新進党だった。これら野党は「増税反対」の立場から、橋本政権の
とった政策を「9兆円の負担増」と批判した。増税前、先行的に実施していた2兆円規模の特別減税の打ち切り、健康保険の患者負担増(1割→2割)等で2兆円、そして消費税を2%上げることで5兆円、あわせて9兆円の負担増というわけだ。
小沢新進党にいたっては増税どころか「18兆円の大減税」を訴えて対抗してきた。
しかし、橋本首相の行く先々の人々の反応はとても良かったのである。89年の自民党惨敗の「消費税選挙」を幹事長
として指揮した橋本首相も「江田君、89年の時とは全然ちがう。あの時は石まで投げられたが、今回は真剣なまなざしで聞いてくれる」と胸をなでおろしていた。
その手ごたえどおり、結果は、自民党が、選挙前の211議席から28議席伸ばし、239議席としたのである。増税を訴えて勝利した、後にも先にもない珍しい選挙だった。
最近、何も知らない政治家や評論家がテレビや新聞で「選挙で増税を訴えて勝ったためしはない」と言っている姿も
見受けられるが誤りだ。この時は確かに「勝った」のである。(江田けんじ著書:財務省のマインドコントロールより)
※平成24年3月6日 衆議院予算委員会使用パネルより
【今週の直言 シリーズ】歴史の証言/消費税3%から5%への道程
①「既定路線」で「景気に最大限配慮」
②痛みを伴う「5大改革」を表明
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