野田首相と谷垣自民党総裁との直接会談が表沙汰となった。昨年末以来、水面下で、民主、自民の限られたメンバーがそれぞれのパイプを使って進めてきた「増税大連立」。それが、いよいよ表面化してきたということだろう。「究極の密室談合」と言ってもよい。
元々、民主党も自民党も「消費税を10%に増税」で同じなのだから、これは自然な成り行きだろう。おまけに、野田首相も、谷垣総裁も、9月に代表選、総裁選を控え、「断崖絶壁」に立っているわけだから、両者の利害も一致する。
野田首相は、もちろん、支持率が下がる続ける中で、身命を賭す「消費増税法案」を通さなければならない。谷垣総裁は、民主党政権を解散に追い込まなければ、9月の総裁選で「クビ」になる運命だ。
この会談が、総理側近から漏れたことで、一旦は「増税大連立」の流れは止まるだろうが、どっこい、また、水面下に
もぐり、引き続き、模索がされ続けるだろう。
一方で、これで「ガチンコ勝負」になるという可能性も否定できない。来年度予算が成立する4月上旬に、自民党他野党が「内閣不信任案」を出し、それが、民主党の分裂を誘発して通る。そこで野田首相が解散というケースも考えられるし、国会会期末の6月、いよいよ消費税増税法案がたなざらし、あるいは、否決という事態を受けて、野田首相が解散するというケースも考えられる。会談が表面化したことで谷垣総裁が党内から突き上げられ「死に物狂い」になるパターンだ。
いずれにせよ、今国会で解散がなければ、9月の代表選、総裁選で野田、谷垣両氏とも退場だろう。今の民主党執行部は、解散をひたすら先送りしたいようだが、財務省の悲願で、首相自身が思い詰めている消費税増税法案も通らず、
こんな低支持率の首相が9月の代表選で再選される可能性はゼロに近いだろう。そんな例はない。だからこそ、野田首相と民主党執行部の利害は一致しないのだ。
「大阪維新の会」の選挙準備の進捗もからんで、これからの政局は、いよいよ大波乱含みになっていく。維新や我々
みんなの党も含めて、民主、自民による「第3極つぶし」の動きも加速されるだろう。それが解散時期にからみ、また、
選挙の前か後か、「話し合い解散」か「通常解散」か、いろいろ態様はあろうが、「増税大連立」の流れは止まらないだろう。
いずれにせよ、来るべき時に備えて、そのための準備はしっかり整えておかなければならない。
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