大増税ミッション野田内閣が本性剥きだし(上)・・・G20で消費増税を表明
2011年11月 7日 tag:
野田首相は、先週末開かれたG20首脳会議で、「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」、その増税法案は「2011年度内に提出する」と明言した。事実上の国際公約である。
この発言は、先の安住財務大臣の、同じくG20での発言に続くもので、完全な「確信犯」である。いよいよ、私が指摘してきたとおり、「増税のみをミッションとした野田政権」の本性が露骨に表れてきたと言えよう。
もちろん、背後には財務省の強い意向がある。野田佳彦という政治家は、財務副大臣、財務大臣と、この政権交代後の二年間、財務官僚が手塩にかけて育ててきた政治家だ。国対畑を歩き政策には疎い野田氏を、手とり足とり、財務官僚が「教育」「指導」してきた。それは「白いキャンバスに絵を描く」より容易だったはずだ。
そして、その努力は見事に花開いた。9月の民主党代表選で、実質上の選対本部長を務めた財務省は、一回目の投票で、一時は泡沫候補扱いだった野田氏に100票越えという離れ業をやってのけさせ、総理に就任させた。
その後は、官邸や党の要所要所に財務官僚やその息のかかった官僚(特に、事務の官房副長官の竹歳前国交省事務次官)を据え、今や盤石の「増税シフト」を敷きつめたのである。
だから、財務省は、その「元」をとらなければいけない。消費増税に目鼻がつくまでは、野田首相に絶対に解散はさせない。解散になると、その野田政権そのものがなくなる可能性大だからだ。
「目鼻がつく」とは、増税法案を国会で成立させるということだ。野田首相が、同じG20で同行記者団に「法案が通り、その後(増税を)実施する前に信を問う」と語ったのは、こうした背景がある。別に目新しい方針でも何でもなく、驚くことでもない。野田・財務省政権の既定路線の表明でしかないからだ。
現在、内々、政府部内で検討されている「消費増税スケジュール」は次のようなものだ。「2013年秋以降、まず消費税を2~3%引き上げ、15年に2回目の増税で10%に引き上げる」、すなわち「2段階増税論」だ。
これを前提にすると、「法案が通り、その後(増税を)実施する前に信を問う」という「野田論法」でいっても、4年間の衆院議員の任期は2013年夏には来るから、「増税実施直前」の「任期満了選挙」も可能になる。これが、なるべく選挙は先延ばしにしたい民主党、野田首相の本音であり、民主党の願望とも合致するのだ。ゆめゆめ、増税法案成立直後に解散、という意味ではない。
しかし、そうは問屋がおろさない。先の臨時国会冒頭の所信表明演説では、この消費税増税のくだりは一切ふれられなかった。「増税」の「ぞ」の字もなかったのだ。租税政策や財政政策はすぐれて内政の問題だ。にもかかわらず、所信表明演説という最も公式な場で、国民や国会議員に説明し理解を求める前に、世界の首脳に約束する。外堀を埋め、外圧で国内の増税反対の声を抑えこもうという財務省の魂胆ありありだが、ありえない話だ(来週に続く)。
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