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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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シリーズ/野田「財務省政権」の何が問題か?・・・⑤財務省の殖民地支配

2011年10月11日  tag:

 財務省が予算の査定権限を持っているということは、また、各省庁の人事、組織、定員までも、その影響下に置くということを意味する。中央省庁の再編前は、防衛庁、国土庁、環境庁、経済企画庁などの事務次官や官房長に大蔵省出身者がつくということが常態化していた。今でも防衛省や環境省には、その名残が残っている。いわゆる財務省の「殖民地支配」と呼ばれるものだ。

 ただ、次のような枢要なポストを財務省が押さえていることは世間には知られていない。一つは、総務省行政管理局管理官(定員総括)だ。このポストには歴代、財務官僚で、しかも次官コースに乗っている超エリートが就く。それほど財務省が重視している証拠なのだが、それもそのはず、このポストは、全省庁の、その年の増員、減員の総査定をする権限をもっているのだ。霞ヶ関の人員の増減が、このポスト一手に握られている。

 定員だけでなく、組織や機構についても、定員ほどその影響力は強くはないが、やはり実際は財務省主計局総務課や各担当主計官のところでチェックしている。つまり、どの省のどこに課や室を増設するかという査定も、総務省が査定官庁とは名ばかりで、最終的に、総務官僚が査定した案を査定するのが財務官僚なのだ。

 また、人事院の給与課長というポストも歴代財務官僚の出向者だ。ここでは、全公務員の級別定数や新規増員の定数(ポストの格付けや給与の額)を管理、査定する。09年初頭、人事院総裁がこの権限を内閣人事局に移管することに対して、身体をはって阻止しようとしたことがあったが、その背景には財務省ありなのだ。

 さらに言えば、内閣法制局の長官や部長、参事官にも財務官僚が就く場合が多い。「法律による行政の原理」の源も、財務省の影響下にあるとも言えよう。最近では、本来なら利益相反関係にあるポスト、すなわち、予算の決算審査をする会計検査院の院長にまで、財務省出身者が座った。

 民間でも役所でも、どこかの組織に属している人なら容易にわかることだが、一官庁が、予算や人事、組織、法務、監査部門までを一手に握っているのだから、その権力の強大さは推して知るべきだろう。まさに、霞が関は、毛細血管や末梢神経のすみずみに至るまで、財務省支配と言ってもいいのである。

(次週に続く)。

シリーズ/野田「財務省政権」の何が問題か?・・・④財務省は富士山、他省庁は並びの山
シリーズ/野田「財務省政権」の何が問題か?・・・③予算査定権、査察権が権力の源泉
シリーズ/野田「財務省政権」の何が問題か?・・・②財政と金融の分離
シリーズ/「財務省支配」の何が問題か?・・・①橋本行革の最大の課題

先週以前の「今週の直言」はこちら

シリーズ/野田「財務省政権」の何が問題か?・・・④財務省は富士山、他省庁は並びの山
シリーズ/野田「財務省政権」の何が問題か?・・・⑥財政至上主義の蔓延