狼少年はもうやめよう!・・・国債暴落、経済破綻シナリオ論者へ
2011年7月18日 tag:
先週、「ギリシャとなるとわけが違ってくる」と書いたら、にわかにユーロ危機が再燃し、そのあおりを受けて78円までの円高になった。こうした危機の折には、日本=円に対する相対的信認が、まだまだ世界的には高いという証左だろう。
この例でもわかるように、日本とギリシャは、財政危機といっても根本的に違う。ギリシャは、その70%を国外から借金した、そのツケが今来ているのだが、日本は国債の95%は国内で消化されている。だから、本当の日本(国)の借金は668兆円(平成23年度末の公債残高)×5%=34兆円。対GDP比率は6%にすぎない、とも言えるのだ。
財務省は、数年前、日本国債の格付けが下げられた時に、こんなことを対外的に主張していた。そのロジックはこうだ。「日本は世界一の個人金融資産を持ち(貯蓄超過国)、しかも経常黒字国で外貨準備も世界最高だ。国債も国内で低金利で順調に消化されている。まったく心配はない」と。
対内的には、「大変だ!大変だ!」「このままいくと国債が暴落し、金利が急上昇して経済が破たんする!財政が破たんする!」と脅しをかけながら、対外的には、その真逆を平気な顔で主張できる。何が何でも増税し、財務省の、自らが差配できるお金を増やしたい魂胆はわかるが、だからと言って、二枚舌を使ってはいけない、「うそつきは泥棒の始まり」、子供の教育にも良くない。
そして、大手マスコミの一部、いや大勢、財務省御用達の御用学者の皆さん、もういい加減、「財務省の広告塔」をするのはやめませんか?事実の報道、真実の探求に心掛けましょう。こうした「狼少年の言辞」を、私がいた橋本政権、今から四百兆円レベルで借金の額が低かった頃から、何度聞かされたことだろう。
真に財政再建を果たしていくためには、まず、日本経済をデフレから脱却させ、成長路線にのせ、そこから上がってくる税収を充てていかなければ、決して「持続可能な借金返済」はできない。国と地方あわせて892兆円にも及ぶ長期債務を増税で返していこうとすれば、一体消費税を何%上げれば良いのか。気の遠くなる数字になるだろう。
震災の復旧・復興や社会保障の財源捻出とて同じことだ。そして、その前に当然、議員や公務員が「わが身を切る改革」(給与や定数減)を断行し、特別会計の埋蔵金供出や政府資産の売却、無駄遣いの解消等も徹底的に行う。
そして、それでも足りなければ、例えば、将来の社会保障財源が足りなければ、その足りない額を明らかにして、その分の増税幅をしっかりと国民の前に総理が示す。こうした手順、プロセスが死活的に重要だ、と私は言っているのだ。
あえて挑発的、かつ逆説的な物言いをすれば、私のようなやり方をしないと、決して国民の理解は得られず、結局、消費税増税などできはしないだろう。今の財務省や与謝野馨さんのやり方では無理なのだ。
最後に、財務省のプロパガンダの最たるもの=「国の家計簿」は、国の財政を家計に例えること自体が適当ではないが、以下のように修正した方がフェアーだろう。
「我が国の財政を家計にたとえると、月収40万円で、このうち14万円は借金の返済。実際に使えるお金は26万円なのに、この家は家計費に33万円。ただ、一方で、現金と預金が200万円あるし、たしかに、新たに18万円の借金をし、その残高は4600万円に達するが、それはサラ金ではなく、ほとんど同居の息子に借りているものだ。それに株式等の運用資産は2600万円あるし、自宅や別荘の資産価値も計1500万円あるから当面は大丈夫。破産?それって何の話?」。
【参考】
(1)財務省HPでの説明(平成20年度予算)
税収・税外収入 |
58兆円 |
月給 40万円 |
国債費 |
20兆円 |
ローン元利払い 14万円 |
公債残高 |
553兆円 |
ローン残高 4600万円 |
(2)財務省HPには入っていない事項
<資産> | ||
現金・預金 |
24兆円 |
現金・預金 200万円 |
有価証券 |
99兆円 |
株その他の運用財産 2600万円 |
出資金 |
54兆円 | |
貸付金 |
163兆円 | |
有形固定資産 |
183兆円 |
家や別荘 1500万円 |
| ||
資産合計 |
665兆円 |
5500万円 |
負債合計 |
982兆円 |
8200万円 |
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