財務省の増税プロパガンダもいい加減にしろ!
2011年7月11日 tag:
菅政権の「社会保障と税の一体改革」の報告が、2010年代半ばまでの消費税10%への増税を打ち出した。
民主党内の反発に考慮して、「経済状況の好転」が条件とか、時期は「10年代半ばまで」とぼかしてはいるが、財務省や与謝野担当大臣の意図は、明らかに「15年度までに10%増税」だ。
それにしても、財務省の増税、財政危機プロパガンダもいい加減にしろと言いたい。
財務省HPをみると、「平成23年度末の公債残高は668兆円で税収16年分」「公債残高の対GDP比率は先進国に比べ極めて高い」等々の文字が躍っている。国と地方の長期債務は892兆円に及び、対GDP比率は1.8倍とも喧伝される。
また、国家財政を家計に例えて、こんな記述もある。「我が国の財政を家計にたとえると、月収40万円で、このうち14万円は借金の返済。実際に使えるお金は26万円なのに、この家は家計費に33万円。新たに18万円の借金をし、その残高は4600万円に達する」。
これをそのまま垂れ流し、必要以上に財政危機を煽りたてるメディアのいかに多いことか。
私も財政規律、財政再建は誰よりも重要だと考えている。しかし、いつ来るかわからない危機を「狼少年」のように叫び続けるよりも、今、この目の前にある危機を乗り越えるべきだと言っているにすぎない。また、こんな景気が悪い時に増税をしたら、逆に税収が落ち込んで、震災対応や社会保障の財源調達にもマイナスになると警鐘を鳴らしているのだ。
財務省の意図的なプロパガンダに騙されないためには、以下のような問いかけを財務官僚にしてみたら良い。
「あなたはバランスシート(貸借対照表)というものを知らないんですか?」と。
どんな優良会社でも、貸借対照表の右側=負債だけを取り出されれば、即、大借金の倒産寸前の会社になってしまう。あの「世界のトヨタ」も同じだ。どこの世界に左側=資産を無視して「大変だ!大変だ!」と騒いでいる会社があるだろうか。
ちなみに、国のバランスシートをざっくり言うと、資産が700兆円、負債が1000兆円、差し引き300兆円が「純債務」である。そのGDP比率は0.6.これが、財務省の手にかかると、負債(借金)が1000兆円もあって、GDPの二倍もあるから「大変だ!」となる。
信じがたい話だが、高橋洋一氏(元財務官僚・平成の埋蔵金男)によると、東大法学部卒が主流の財務官僚は、本当に財務諸表が読めないらしい。確かに、主計局が作る予算書は「宿帳形式」で複式簿記の知識はまったく要らないのだ。
「たしかに国債発行は国の借金(負債)でしょう。でも、同時にそれを買った国民には資産になるんでしょう。差し引き国全体としてはゼロではないですか」と。
当然と言えば当然だが、この「当然」があまり理解されていない。別の言い方をすれば、よく「赤字国債は借金だから将来世代へのつけ回し」とされるが、国債をお金を払って買うのは現世代の国民で、その国債が償還される時は、その時の世代がお金を受け取るのだから、「つけ回し」どころか将来世代への「仕送り」とも言えるのだ。
それは、この資金のやりとりを、国側からみるのか、国民側からみるのかで違ってくるからだ。この二者間の「国内」でのやりとりである限り、当たり前の話だ。
しかし、ギリシャとなるとわけが違ってくる(来週に続く)。
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