20兆円は明日にでも出せる!・・・労働保険で10兆円、バラマキ停止他で5兆円
2011年4月25日 tag:
それでは、その他の復旧・復興の財源についても説明しよう。
労働保険特別会計の雇用勘定から5兆円というのは、その資産負債差額(埋蔵金)6.5兆円(2009年度末)のうち5兆円を取り崩すということである。
要は、雇用保険料を国民から取りすぎた、その結果がこの剰余金であり、本来なら、大臣や担当局長が頭を下げて、国民にお返しすべき性格のお金だ。
この労働保険特別会計の運営の杜撰さは、「私のしごと館」とか、「勤労者福祉事業」と称して「スパウザ小田原」等々に、4000億円以上の保険料を流用して全国2000か所以上の天下り赤字保養施設を作ったことからも明らかであろう。
保険料の算定においてもご多分に漏れず、生保や損保が当たり前のように行っている「保険数理」に基づく計算もせず、積立金の適正水準の説明もなく、ただ、漫然と積み上がっているお金なのだ。
だから、ここは、本来国民にお返しすべきなのだが、増税して新たに負担をお願いするより、既に振り込んでいただいているお金だから、この際、苦しんでいる被災地、被災民のために使わせてください、と総理が頭を下げたら、国民は納得していただけるのではないだろうか?
我々みんなの党は、1.5兆円(過去、この特会勘定で欠損が出た時も、せいぜい数百億円レベル。この額でも十分すぎるほど)は、いざという時の失業給付や失対事業に支障がでないために積立金として残し、あとの5兆円は使わせていただくという立場だ。
さらに、みんなの党は、政府民主党の4Kバラマキ予算にも切り込む。「こども手当て」は、所得制限付きの「児童手当て」に戻せば1.5兆円(年少扶養控除は復活前提で計算)が浮く、高速道路の無料化廃止で0.1兆円。農家の戸別所得補償の廃止で0.6兆円、高校無償化廃止で0.4兆円。計2.5兆円だ。
これに加えて、今年度の予備費から1兆円、国会議員、国家公務員の人件費2割削減で1兆円。あわせて5兆円程度の財源は出てくるのである。
以上、特会の埋蔵金で15兆円、その他で5兆円。あわせて20兆円。これで十分だと考えるが、それでも足りなければ、その時は震災復興国債を発行して不足分を補うしかないだろう。
ただ、震災復興国債といえども、借金であり、それが借金残高を増やし、将来へのつけ回しとなることは事実だ。しかし、これまで、痛烈に批判されてきた公共事業と、今回の復旧・復興のための公共事業は根本的に異なる。必要もない無駄な道路の二重投資や一県一空港、釣り堀化した港湾整備とは違う。
一件一件が、真に被災地の復旧・復興のために必要不可欠のものであり、だからこそ、その経済波及効果も高いだろう。復旧・復興需要は、日本経済全体に、いずれプラスの効果を生み出し、その結果、経済が成長し税収が伸びる局面も来ると考える。
そこは、あまり財政規律だけ考えて、「角を矯めて牛を殺す」ことにならによう、十分、留意していく必要があろう。ゆめゆめ、「国債、借金の裏打ちの財源は増税で」と先走らないことだ。「国破れて財務省あり」。政治家が最も避けなければならないことだろう。
なにより、いま政治に求められるのは何か。被災民の皆さんに出すべきメッセージは何か。それは、被災民の方が将来に向けて少しでも夢や希望をもてるような政策を打ち出すことだろう。だからこそ、「お金は全部国が工面します」「だから、安心して生活再建、そして街づくりに頑張ってください」「農業や漁業関係者の将来の生活設計が軌道に乗るまで、しっかり国が面倒をみます」といったメッセージを、まず政治が語らねばならない。
ところが菅民主党政権は、第一次補正予算案「総額4兆円規模」を唐突に打ち出してきた。これは「先に財源の制約ありき」という財務省的発想に基づく予算案であり、こんな覚悟のなさでは、とても被災民の方々に夢や希望を与えることはできない。
今回のような大災害からの復興を考える場合には、「被災地の復旧・復興にどれだけの対策、お金が必要か」というニーズを先に考え、そのあとに財源を考えるべきだろう。なんの「絵図面」もなしに、予算枠を先に決めて復興案を決めるなど、まさに本末転倒であり、まったくお話にならない。
そもそも、今回の震災の被害の規模を考えれば、いまは「戦時」であるというほどの覚悟をもつべきだ。そして戦時における国家運営の大原則は、財源の制約で政治を進めてはいけない、そうすれば国益を損なうということである。たとえば、82年のフォークランド紛争の際、英首相サッチャーが戦時内閣を組織した際は、財務大臣は入れなかった。それが当たり前の原則なのだ。今、日本は、それに学ばなければならない。
Copyright(C) Kenji Eda All Rights Reserved.