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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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なぜ名目4%成長が必要か?(下)・・・ドーマーの定理

2011年2月21日  tag:

 じゃあ、なぜ「4%」なのか。ここで「ドーマーの定理」が出てくる。

 「ドーマーの定理」とは、財政赤字の管理可能性を判断(収束か発散か)する尺度で、簡単に言えば「基礎的財政収支をバランスさせた上で、名目成長率が国債の長期金利よりも高い場合は財政赤字は収束する」という原理だ。

 この条件が成立すると、債務残高(借金)の対GDP比率が年々減少し、国全体の支払い能力をGDPとすると、その範囲内に借金が収まる、いずれ収束するということを意味する。

 みんなの党のアジェンダでも、財政再建の指標として、この「債務残高の対GDP比率」を採用し、現在55%程度あるこの比率を「経済危機を克服した後、5年間で50%以下にすることを目標」「基礎的財政収支の黒字化を10年後に達成」としている。

 ただし、念のために断っておくと、この「ドーマーの定理」は、あくまで理論的に「名目成長率が国債の長期金利よりも高い場合」にそうなるということで、実際の経済で、4%名目成長があれば常に国債の長期金利を上回るという保証はない。この点は、小泉政権当時の「与謝野vs竹中論争」でも大問題となった。

 だから、この4%という数字は、この程度まで政策努力で成長を確保すれば、国債の長期金利を上回る可能性が大という程度の理解にしていた方が無難だろう。

 各国の現状はどうなっているか。このドーマー条件を満たしている国(99年~07年)には、豪、米、英、スウェーデン等があるが、これらの国の名目成長率はすべて5%以上である。クリアーすれすれの仏、伊は4%である。したがって、実証的にも4%以上の名目成長を目標にしていくことには一定の合理性があると言えよう。

 いずれにせよ、確かなことは、今の日本のようなデフレ下では、名目成長率より国債金利の方が高くなり、将来の財政破たんが明らかなのだ。

 以上述べてきたように、景気が悪い時に増税で財政再建はできない。まずはデフレギャップを解消し、経済を成長路線に乗せる。これが、みんなの党の基本的立場なのだ。

 小泉政権時代、28兆円(02年)あった基礎的財政収支の赤字が07年には6兆円にまで減った。なぜか?当時、1.1%の名目成長(04年~07年)があったからだ。たった1.1%の成長でもこんなに赤字は減る。増税は一切していない。

 また、クリントン政権も、前政権から3000億ドルの赤字を引き継いだが、98年には見事に財政を黒字化した。これも当時平均5.7%の名目成長があったからだ(01年の大統領教書の分析による)。

 これが歴史の事実であり、世界の常識なのだ。しかし、残念なことに、ここ日本だけが財務省に洗脳され、この景気の悪い時に「やれ財政再建だ!」「やれ消費税増税だ!」「増税しないと国が破たんする!」と叫んでいるのである(次週以降、みんなの党の成長戦略を説明する)。

なぜ名目4%成長が必要か?(上)・・・財政再建のためにも
どうやって4%名目成長を実現していくのか(上)・・・投資促進と技術革新