消費税増税をどう考えるか(上)・・・社会保障と税の一体改革
2011年1月24日 tag:
菅政権は、与謝野馨氏を得て、一気に、社会保障と税の一体改革に乗り出した。4月までに社会保障制度そのものの改革案をまとめ、その後、6月までに消費税を含む財源論にまで踏み込むという。
我々みんなの党も、社会保障制度の改革は極めて重要だと認識している。しかし、今、この一連の流れを主導しているのは財務省であり、「はじめに消費税増税ありき」の「官僚主導の増税路線」には乗るわけにはいかないのだ。そこには「国民不在のシナリオ」が透けてみえる。
すなわち、事業仕分けでも満足な埋蔵金は出てこなかった、公務員の総人件費2割カットも結局難しかった、国会議員の削減も給料カットもできなかった、一方、社会保障ではこれだけ莫大なコストがかかりますよ、だから消費税を15%にまで上げなくてはならないんですよ、、、、、。
このシナリオの前では景気も雇用もへったくれもない。「そこのけそこのけ財政規律様が通る」。この「財政規律至上主義」は、もちろん財務官僚のDNAだが、与謝野馨という政治家のDNAにもしっかりと組み込まれている。「国破れて財政あり」。私は、この日本という国を絶対にそんな国にしてはいけないと考えている。
ただ、始末におえないのは、その財務官僚に洗脳されたメディアがそれをあおる。財務省記者クラブが財務省のプロパガンダをそのまま撒き散らしているのはどうしたものか。その象徴が、「国の財政を家計に例えると」という財務省HP丸呑み記事だ。
財務省HPには「我が国の財政を家計にたとえると、月収40万円で、このうち14万円は借金の返済。実際に使えるお金は26万円なのに、この家は家計費に33万円。新たに18万円の借金をし、その残高は4600万円に達する」と書いてある。これをそのまま垂れ流し、必要以上に財政危機を煽りたてるのだ。
しかし、ちょっと待ってほしい。まず、経済学の用語に「合成の誤謬」というのがあるが、それを持ち出すまでもなく、ミクロで正しいことが必ずしもマクロで正しいとは限らないし、その逆も真だろう。まさに、国の財政を家計に安易に例えること自体が間違いだし、しかも、この説明にはプラスの情報、すなわち、家の資産価値も、あるべき預金残高も記載されていない。また、確かにこの家計は借金頼りだが、その借金は何もサラ金からではなく「同居の子供」からしているにすぎないのだ(国債の95%は国民が引受)。だから、この財務省説明は、とてもまともな議論に堪えられるものではないのである。
現に、財務省は、数年前、日本国債の格付けが引き下げられた時、こんな説明を対外的にしていた。「日本は世界最大の貯蓄超過国だ。その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている。また、日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高だ」。だから日本は大丈夫、心配しなさんなと財務省は言いたいらしいが、これでは、まさに「二枚舌」ではないか。ことほど左様に、財務省の言辞に惑わされてはいけない(次週に続く)。
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