シリーズ「有言不実行内閣」・・・(3)笑止千万!事業仕分け(後篇)
2010年11月 8日 tag: 事業仕分け
何度も言うが、財源捻出には、財務省所管の特会、独法、政府株、国有資産等に切り込んでいかなければ叶わない。その点、財務省関係の大どころには、今回も一切、切り込んでいない。そう言えば、地方出先機関の廃止検討対象にすら財務局がなっていないように、この政権の裏シナリオライターが財務省であることがわかる。
例えば、「国債整理基金」の12.5兆円の「たまり金」(剰余金)は明らかに埋蔵金だ。それを民主党の仕分け議員は「違う」と明言する。ならば問う。どこの世界に、新たに借金をするのに「たんす預金」をわざわざ12.5兆円も残すバカがいるというのか。毎年、財務省は、この「たまり金」を自分の懐に残すために、新発国債10兆円を発行しているのだ。これを「減債制度」というが、こんなことをしている国はどこにもない。
みんなの党は、この資金を使って、例えば市中に出回っている国債の繰り上げ償還をしろと主張している。これは国債の買い切りオペと同等の効果があり、デフレや円高対策にもなる。
外為特会は、最近の円高で30兆円もの為替差損を抱えている。それはそうだろう、しかし、これが民間会社なら、とうにその責任をとって経営トップは退陣している。それを「差損が出ているから積立金20兆円超は使えません」と開き直る。そもそも、差損は100兆円を超える異常な額の外貨資産を持っている結果なのだから、それを縮小する、外貨資産をスワップするといった対処をなぜしないのか。それが最低限の責任の取り方だろう。こうした視点が民主党財務省政権にはまるでない。
このほか、財政投融資特会、JT株等の政府株、国有資産等々、財務省関係の埋蔵金の所在は多々あるが、ここでは長くなるので触れない。
さらに、労働保険特会についても、ジョブカードのようなチマチマしたものは廃止というが、雇用勘定にある5兆円超の剰余金については何も言わない。これは、私が厚生労働委員会でも追及したように、今後、最悪の失業率が5年間続いても、なお1兆円残るという代物だ。まさに、これまで保険料を割高に設定してきた結果なのだから、国民はもっと怒っていい。
同じく同特会には、労災勘定の責任準備率も明定せずに、8兆円超の準備金があるが、これも将来給付のために必要と思考停止するのではなく、保険数理の専門家を入れて計算させれば、すぐにでも結論が出る。どちらもしっかり計算して、残余は一般会計に取り戻すか、保険料を下げ国民に還元すべきであろう。
そして極め付けは、今国会に提出された補正予算で、8千億円程度の公共事業を積み増しておきながら、仕分けでは、道路や港湾等の5事業で10~20%減、約5000億円削減するといった支離滅裂なことを平気でやっていることだ。それが許されるのも、仕分け部隊が民主党政権内でも「党内野党」と軽んじられ、支持率向上のための「ショー」だと割り切られているからだろう。
いずれにせよ、こんな「仕分け」の結果が実現できるわけがない。これまでがそうだったし、民主党内の抵抗勢力の壁を打ち砕く仕分け根拠も薄弱だからだ。そして、年末の予算編成は、何事もなかったかのように、いつものバラマキで終わる。
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