有言実行内閣?・・・口先内閣ではないのか
2010年9月20日 tag: 民主党
菅新内閣が発足した。とりあえずは礼儀だから、頑張ってほしいと外交辞令を出しておこう。特に、岡田克也幹事長と片山善博総務相には期待したい。
期待したい、と言った趣旨は、この二人の政治家自身には、改革の志があると、私は、これまでのお付き合いの中で判断しているからだ。
しかし、実際の政治はそんな甘いものではない。独裁者でもない以上、この民主党政権でその志を貫くのは難しいからだ。何度も指摘しているように、この党には改革をはばむ「構造的欠陥」がある。「公務員の労組依存」という致命的な欠陥が。これは、私が最後まで民主党入りを固辞した最大の理由でもある。
片山さんについては、「真の地域主権の実現」という、同じ志をお持ちであることから、私も何度かこれまでアプローチしてきた。ただ、その時は、政治に関わることを厳に否定されていたものだ。どうしても、あるべき論と現実の政治との間にはギャップが生まれる。そのズレが自分の性格からして精神衛生上極めて良くないからといった趣旨であったように記憶している。
その方が大臣を受けた。私も、評論家として、大学の先生として、勝手気ままなことを言っているだけより、この際、最後のご奉公で大臣としてやれるだけやってみようと決意された片山氏を責めようとは思わない。その志を是非貫いてほしいが、民主党政権では無理だろう。
だから、やるだけやって、だめなら潔く退いてほしい。そして今度こそ我々に力を貸してほしい。彼の持論の「住民自治(参加)」は、自治労が支配する地方自治体の役所が最も忌み嫌うものだし、国から基礎自治体に権限、財源、人間を移譲する「地域主権」も、霞が関の各省庁の抵抗がすさまじいところだ。自治労依存、霞が関依存の菅政権では、その実現は夢のまた夢、その結末は火を見るよりも明らかであろう。
岡田さんについては、二十代の頃からよく存じ上げている。通産省の三年先輩で、一緒に法律作りで徹夜を繰り返したこともある。その人柄は、報じられているとおりで、「堅物」で「まじめ」、裏表もなく「誠実」そのものだ。「原理原則主義者」という評価も、最近、少しは変わってきてはいるのだろうが、当たっている。ただ、その特質が、今の代表選を期して二分された党内状況をうまくまとめてやっていけるかどうかとなると、また別物だろう。その力量については未知数と言ってよい。
いずれにせよ、我々野党の立場からすると、我々の提案にも真剣に耳を傾け、党利党略ではなく、国益のために最善の道を探ってほしいと願うばかりだ。
このお二人の今後の努力にも関わらず、菅内閣の支持率は、放っておいても下がり続けるだろう。年末の予算編成が終わるころには、40%台を切るまでになっているだろう。この「口先政権」には、政治主導はもとより、ガバナンス、いや、組織のマネージメント能力もないのだから。そして、その間隙、いや、隙だらけの政権に霞が関官僚、特に、財務官僚が見事に入り込んでいる。
最近面白い話を聞いた。「菅首相は自分の内閣を奇兵隊内閣と称した。しかし、今の状況は新撰組内閣だ、会津藩(財務省)の支持に従って、幕藩体制(官僚国家)を守る内閣になっている。」
Copyright(C) Kenji Eda All Rights Reserved.