菅さんが逃げた!・・・さすが「奇兵隊内閣」
2010年6月14日 tag: 国会運営、民主党
信じられないことが国会で起こっている。内閣が代わったというのに、予算委員会さえ開かず、国会をそのまま閉じるというのだ。これが、民主党政権に一貫している「国民の政治が第一」ではなく「民主党の選挙が第一」の魂胆からくることは明らかであろう。
それにしても日本国民は本当に心優しい。これだけだまされてきたのに、まだ信じようと言う方が60%前後いるのだ。菅政権発足後の世論調査が、その「V字回復」を示している。
私は、与野党幹事長会談でも記者会見でもメディアでも、ずっと言い続けてきた。「国民にとって7月11日投票か25日投票かはどうでも良いことだ。それよりも、来るべき審判(参院選)を国民が下すに当たって、その判断材料を国会が提供することが最低限の責務だろう。そのためには、所信表明演説に対する代表質問だけでなく、双方の予算委員会の十分な審議が必要不可欠だ」と。
しかし、一旦、民主党が提案した衆参一日ずつの予算委員会開催も、輿石参院会長が反対を叫んで撤回させた。その理由は、自分の山梨での選挙を含む参院選最優先、ご祝儀相場が冷めないうちに、菅政権のボロが出ないうちに、とにかく選挙になだれ込もうという意図からくることは、さすがに国民の皆さんにも明らかであろう。
内閣が代わって予算委員会すら開かず選挙に突入した例はない。日本憲政史上初の暴挙となる。
菅総理は自分の内閣を「奇兵隊内閣」と称した。奇兵隊は攻めるのも早いが逃げるのも早いという。そのとおり「菅さん、予算委審議を早々に逃げたね!」。でもあえて言いたい。それはあなたが一番嫌いなことではなかったのかと。
とにかく、この新政権は、これでもかという「小沢切り」と包装紙だけはピカピカにした効果で支持率を急回復させた。しかし、菅新総理自身が鳩山政権を継承すると言っているように、その中味は変わっていないし、いや、中味は腐っているのだ。
すなわち、「理念なきバラマキ」と「JALや道路会社、日本郵政等大企業の国営化」で大負担・大借金・大増税の「超大きな政府」で、ひたすら企業を敵にみなして手かせ・足かせをかけていく社会主義路線は、菅政権になってまったく変わっていないからだ。このままだと財政破たんどころか国家破たんへの道を歩んでしまう。
内閣の骨格人事をみても、そこに希望は見いだせない。菅総理や野田財務大臣は完全に財務官僚に丸めこまれているし、内閣の要の仙谷官房長官は、自治労(地方公務員労組)の権化のような政治家だからだ。私が「役人万歳内閣」と称している所以だ。
菅総理が「増税で景気が良くなる」という奇説、珍説を唱えているのも、この十数年来、財務省が言ってきたことそのままだし、「消費税増税」を叫び出したのも、このままだと来年度の予算が組めないからだ。
それもそのはず、民主党が昨夏、公約した税金の無駄遣いの解消や予算の組み換え、国家公務員の人件費2割減等もまったくできないままに、「選挙が第一」の「理念なきバラマキ」をしてしまった。自業自得というか、これでは財務官僚の言いなりにならないと政権運営自身ができないということなのだ。
仙谷大臣も同じだ。この「自治労協力議員団長」として、そのHPに真っ先に登場する議員が、これまで「公務員制度改革担当大臣」だったというのは、まさにブラックユーモア以外の何者でもない。その証拠に、予算委や総務委で、私や同僚議員の質問に極めて消極的な答弁を繰り返してきた。
スパウザ小田原とか中野サンプラザといった2000施設もの雇用福祉施設を、4500億円の雇用保険料を流用してつくり、二束三文で売り払った歴代職業安定局長が、責任追及もされず、優雅な天下り人生を送っている、みんな首を切られても共済年金(民間より割増)で路頭に迷うこともない、そうした天下り官僚を一掃しろと、予算委で江田が問いただしたら、なんと「無茶苦茶なはったり質問」とのたまわった。
また、公務員制度改革の法案審議で「公務員の給料を減らせばいいといった議論にはくみさない」とものたまわった。それではどうやって公約の「国家公務員の人件費2割減」を達成するのか。
「公務員労組依存の政党、政治家には、絶対に行革はできない」。これは、私が官邸で、中央省庁の再編や大蔵改革、郵政民営化等の取り組んだ経験からくる確信である。これまで菅総理からも節目節目に「民主党と一緒にやらないか」と誘われたが、そのたびに私が切った啖呵でもあった。
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