最近、雨後の筍のように新党ができる。しかし、いずれも大義がない。自民党が沈み行くから、市政が立ち行かなくなったから、このままではジリ貧だから等々で、そこから脱出しようという政治家の生き残り策では、国民の支持は得られないだろう。
我々みんなの党は、昨年夏、民主党への怒涛のような流れの中で結党した。個人的には民主党トップからの再三再四の誘いを振りきった。正直、選挙戦では「みんなの党」といっても、結党自体が報道等で黙殺された結果、ほとんどの人が知らなかったし、「江田けんじ」という「純粋無所属」の方がはるかに通りが良かった。現に「みんなの党」といっても「どこかの宗教政党ですか?」と問われるのがオチだった。
にもかかわらず、大海に小船でこぎ出す覚悟をあえてしたのは、民主党政権になってもだめだ、しかし、一度そのプロセスを経た上で、私が年来訴えてきた「政治理念や政策軸」での政界再編をやらなければこの国の将来はない、との思いがあったからである。
そして今、私が結党宣言に書いたとおりのことが起こっている。「そんなにお金をばらまいてこの国の将来は大丈夫なのか、公務員労組依存で公務員の削減や給与カットなど行政改革関連のマニフェストが本当に実現できるのか、自民党以上に党内バラバラで官僚主導の政治は改まるのか、外交・安全保障政策で一本化できるのか」。鳩山民主党政権の体たらくをみて、その思いは「確信」に変わった。
それにしても舛添氏は何を血迷ったのであろう。あろうことか、国会、永田町でこの人たちだけとは手を組んではいけないという人たちと新党をつくってしまった。およそ改革派とはいえない、いや、守旧派の極致で、このままでは消えてなくなる「どんづまり」の政治家たちと組んでしまったのだ。
正直、私も舛添氏とは適宜連絡をとりあってきたし、彼の目指す政治について話しも伺った。基本的に共通する政策も多かっただけに残念でならない。いくら美辞麗句を並べても、このメンバーをみれば、口先だけで、単に選挙を乗り越えるだけのための便法としか思えない。選挙が終わったら雲散霧消するか、仮に議席を獲得しても利害対立が深まって解党されることだろう。こうした「選挙互助会」のための政党を作ってはいけない。
「たちあがれ日本」についても、理念や政策の違う政治家の「呉越同舟」で「野合」というしかない。与謝野氏や園田氏は、考え方は違っても私の尊敬する数少ない政治家であっただけに、これまた残念でならない。国家主義的な考えの持ち主である平沼氏とリベラルな両氏との連携は理解に苦しむし、また両氏の「はじめに増税ありき」の政策は「増税の前にやるべきことがある」という我々の政策とは根本的に違う。
我々の考えは、将来的な消費税の増税は不可避にしても、その前に国会議員や公務員の人員・給与削減、天下りの根絶等の無駄遣い解消を徹底的にやるというものだ。両氏からはこれまで、こうした言葉をついぞ聞いた試しがない。「立ち枯れ」などと失礼なことを言うつもりはさらさらないが、こうした政党とも手は組めない。
首長がたちあげた新党は、政党要件を満たさない単なる政治団体なので、選挙前にそもそも連携ということは起こらない。また、国政政党であれば、「地域主権」だけでなく、「外交・安全保障」や「地域主権以外の内政」といった基本政策も重要なので、そこをしっかりとみる必要もある。
ただ、日本創新党についていえば、その極めて「国家(国粋)主義的な体質」が気になる。基本政策たる外交や安全保障、その寄って立つ国家観、歴史観が異なるところとは、仮に、選挙後何がしかの議席を獲得しても、連携することはない。せいぜい、「地域主権型道州制法案」を出すときに、中身が一緒であれば、その限りにおいて連携するだけだろう。あくまで法案単位、政策単位だ。
また、この政治団体の枢要なメンバーについては、個人的な問題を克服すると同時に、特に前横浜市長については、開港150周年博の失敗を見越した「市政放り出し」の責任が免れない。現在、横浜市では、この博覧会の赤字24億円をめぐって訴訟合戦の様相を呈しているし、前市長には78億円の損害賠償を求めて市民オンブズマンの訴訟も先週起こった。にもかかわらず市議会の召喚にも応じず説明責任を果たしていない。こうした無責任な政治家に「地域主権」を語る資格もない。
いずれにせよ、我々みんなの党のスタンスははっきりしている。雨後の筍のような新党騒ぎに右顧左眄することはない。しっかりとした理念や基本政策の旗を掲げ、「ゴーイングマイウェイ」で「この指とまれ再編」を目指す。本番は次の総選挙で、そこで民主、自民含めた「ガラガラポン」「政界大再編」を我々が核となって主導する。そして、政権与党となり真の平成維新を達成する。それが「みんなの党」の歴史的使命だと考えている。
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