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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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「こども手当て」をどうするべきか?・・・再検討の動き

2010年4月19日  tag: , ,

 民主党内で、先般法案が成立し実施段階にはいった「こども手当て」について、来年度以降の満額支給の是非が再検討されているという。さすがに、こども一人当たり26000円の支給をすると5兆円を超える財源が必要なため、完全実施に逡巡しているのであろう。

 それもそのはず。この巨額な支給の前提だった、207兆円にのぼる一般・特会会計の総組み替えもまったくできず、天下りの禁止等の税金の無駄遣いの解消や国家公務員の人件費2割削減もできず、「埋蔵金の発掘」もままならない。結果、史上最大の予算(92兆円)を史上最大の借金(44兆円)で組んでしまったのだから、そうしないと来年度予算がとても組めないという事情がある。

 私は原則、選挙で訴えたマニフェストは遵守すべきとは思うが、ただ、その後の事情変化により、やむを得ず変更することはあっても良いとは思う。しかし、その場合は、国民にしっかり事情変更の説明責任を果たし、変更後の政策の理念や考え方を明確にし、今後、再び変更することがないようにしなければならない。

 我々「みんなの党」は、「こども手当て」自体を否定するつもりはない。これまで、高齢者対策では多額の予算を投入してきたが、それに引き換え、子育て支援の予算は極端に抑えられていたからだ。児童手当ての支給水準も諸外国にくらべかなり遜色があった。

 ただ、導入するなら、その趣旨・目的を明確にすべきだろう。この点、厚生労働委員会で長妻大臣にいくら問いただしてみても、景気対策でもあるし、少子化対策でもあるし、貧困対策でもあるし、といった漠然とした答えしかなかった。

 我々は、明確に現下の最大の課題である「少子化対策」という目的を明確にした上で、経済的な理由で子供が持てない、二人目、三人目が持てないという家庭を救うべきだと考えている。であるならば、この手当には所得制限を設けるべきで「お金持ち」には必要ない。むしろ、それだけの財源があるなら、若年世帯の幼児医療や幼児教育の負担軽減に使うべきだと考えている。

 また、子育て支援は、「金銭給付」と「現物(サービス)給付」を車の両輪で行うべきだ。いくらお金を貰っても、子供を預ける保育園がないのであれば、子供を持ちながら仕事を続けようという家庭のニーズは満たせない。その意味で、子育てしながら働ける環境づくり、すなわち、保育園の増設で待機児童をゼロにしたり、保育ママ・病児・一時保育の拡充や育児休暇取得の円滑化、職場の意識改革等総合的な施策が必要となってくる。5兆円超のお金を遣うなら、こうした施策も飛躍的に充実できる。

 しかし、民主党が1月末に出した「こども・子育てビジョン」では、この「現物(サービス)給付」に9000億円しか充てないという。しかも、金銭給付は国で持つから、この財源は地方自治体で持てと言わんばかりの制度設計になっているのだ。これではあまりにアンバランスではないか。

 そもそも、こども手当てに一人26000円、5兆円超をかけるというのが、小沢流の「民主党の選挙が第一」のやり方なのだ。社会民主党の阿部議員がいみじくも厚生労働委員会で指摘していたように、こども一人当たりの平均的な被服費、食費等は一月13000円程度という。それが根拠のない二倍支給になったのは、まさに選挙対策であったわけだ。

 したがって、金銭給付はこの程度にとどめ、財源があるなら、現物(サービス)給付に振り向けていくべきであろう。また、本当に手当てが子育てに使われる保証もないため、現金ではなく「バウチャー(保育券等)」で交付するといった工夫をすることも検討されるべきだろう。みんなの党のマニフェストも、参院選に向け、この方向で見直していくことになる。

 いずれにせよ、この民主党の子育て手当ては、5兆円超の財源が必要になるにもかかわらず、その見通しが全く立っていない。無責任極まりなく、今の鳩山政権を象徴する「理念なきばらまき」の最たるものなのだ。見直してしかるべきだろう。

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