先週、高速道路の料金体系が発表されるとともに、その整備計画も決定された。一言でいえば、「民主党の選挙が第一」の「コンクリート」重視、かつ、露骨な自民党基盤へのクサビ打ち込みで、ますます民主党への失望感がひろがる内容だ。
自民党政権時、民営化された道路会社へは、「高速1000円乗り放題」等料金値下げのための原資が、10年間で三兆円、前渡しされていた。その料金下げのための原資のうち、使用されていない2.5兆円のうちの1.4兆円を使って、なんと「コンクリートから人へ」を標榜する民主党政権が、高速道路整備、すなわち、新たな「コンクリート整備」を行うというのだ。
これが「小沢主導」であることは、昨年末、副幹事長を大挙引き連れて官邸に乗り込み、「これが全国民の声だ」とのたまいながら、居並ぶ鳩山首相以下閣僚にご託宣をした小沢幹事長の姿を思い出せば十分だろう。
その時は、さすがに、担当の前原国土交通相も、「我々の考え方と違う」と言下に否定していたものだが、結局は、この政権を陰であやつる幹事長の威勢と、そうは言っても「参院選が大事」という党内の声におされて、こうした結末になった。
もう「何をかいわんや」ではあるが、度重なるマニフェスト違反、表で踊る役者と裏で牛耳る真の権力者という、この政権の正体を、これほど見せつけられては、国民の多くが、この政権を見放すことは必定であろう。この週末に行われたある民放局の世論調査では、とうとう、参院選後の政権の枠組みとして、「自民党中心」が「民主党中心」を上回ったという。内閣支持率もとうとう30%割れが出た。
高速道路の新設や4車線化は、昨秋、政権発足直後に「凍結」され、「政権交代の象徴」ともされていた事案だが、今回、やはり、その凍結が解除された。これも露骨な選挙対策だが、その証拠に、先般、知事選挙で負けた長崎県と、二階俊博議員がいる保守王国・和歌山県については、意趣返しで凍結を解除しないというのだ。高速道路の建設の必要性云々よりも、政治的な思惑を優先された。
思い出す人もいるだろうう。先般の長崎県知事選では、石井一民主党選対委員長が長崎入りし、「(民主党を選ばないという)そういう選択をされるのであれば、民主党政権は長崎に対し"それなりの姿勢"を示すだろうと私は思います」云々の発言をしていたのだが、その通りの結果となったのである。
こうした鳩山民主党政権の姿に、今、国民は怒りを通り過ぎて、あきれ果てている。そして、外交でも、普天間問題に見られるように、専門家からみれば堪えられないような案を提示して平気な顔をし、米国からも相手にされていない。「もういい加減にしてくれ!」、そう叫びたい気持ちでいっぱいの今日この頃である。
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