国民一人一人の夢を実現できる社会を実現したい

江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

文字サイズ
Home  > コラム  > 今週の直言  >  こども手当と高校無償化法案を強行採決・・・民主党の選挙が第一

カテゴリー月別

こども手当と高校無償化法案を強行採決・・・民主党の選挙が第一

2010年3月15日  tag: ,

 先週金曜日、与党民主党は「こども手当法案」と「高校無償化法案」を強行採決した。双方とも、民主党のマニフェストに掲げられていた目玉政策だ。野党では公明党と共産党も賛成に回ったが、我々みんなの党は反対した。

 理由は簡単だ。それらが、今の極めて厳しい財政事情の下で「理念なき戦略なきバラマキ」だと考えるからだ。「国民の生活が第一」ではなく「民主党の選挙が第一」という底意を色濃く感じるからでもある。

 みんなの党も、「こども手当」を出すこと自体には反対ではない。しかし、出すなら、その目的を「少子化対策」(2008年の出生率は1.37)、その一番のネックである「経済的障害」を除去するという、理念や戦略を明確に打ち出すべきなのである。この点、鳩山政権の答弁は、少子化対策なのか生活支援対策なのか景気対策なのか、あいまいなものに終始した。

 少子化対策なら、この手当には所得制限を設け、経済的な理由で子供が持てない、二人目、三人目が持てないという家庭を救うべきだろう。「お金持ち」には必要ない。所得制限を設けると事務も煩雑になり、公平性にも欠けるという指摘もあるが、今の「児童手当」も所得制限を課している。この民主党提案の「こども手当」自体も、財源調達のための苦肉の策として、既存の「児童手当」をベースに、10年度一年限りで組み立てられているのだ。

 それもそうだろう。一番の問題は、これだけ大きな財源を伴う施策に、その調達の見込みが全くたっていないのだ。「こども手当」には今後平年度ベースで5兆円超のお金が必要となる。しかも、この種の制度は、導入したら最後、撤回するのは政治的に極めて難しくなる。だからこそ、我々は、財源の見通しもなく、こうした恒久的な政策を導入すべきでないと主張してきた。

 この点を危惧する声は、鳩山政権内からもある。こども一人当たり26000円の全額支給はあきらめようという声さえ上がっているのだ。鳩山首相自身も、全額支給の当否はこの6月に判断するとも言っている。

 また、少子化を反転させるためには、こうした金銭給付だけでなく、現物給付や子育てしながら働ける環境づくり、すなわち、保育園の増設で待機児童をゼロにしたり、保育ママ・病児・一時保育の拡充や育児休暇取得の円滑化、職場の意識改革等総合的な施策が必要となる。5兆円超のお金を遣うなら、こうした施策も飛躍的に充実できるのだ。

 ちなみに、フランスの場合、一時、1.7を割った出生率が、最近では2.0近くに戻っている。その背景としては、こども手当だけではなく、ベビーシッター費用を国が出したり、育児休暇中も手当を支給したり、親の仕事あるなしにかかわらず12歳まで学童保育を利用できたり、子育てと自己実現とが両立できる環境づくりが充実していることがある。

 なぜ民主党は、強行採決までしてこんなに急ぐのか。数々の問題を孕みながらも見切り発車をするのは、ひとえに、参院選前の6月に、4月、5月分の26000円のこども手当を支給したいがためだけなのだ。麻生政権下の定額給付金ではないが、それに若干のお化粧をして、もっともらしばらまく。国民は、こんな姑息な手段にだまされてはいけない。

 高校無償化も同じだ。これほど厳しい財政事情なら、高校進学したくても、経済的理由でできない生徒、家庭だけを救うべきだ。みんなの党は、その意味で、本当に困っている人に「返済不要・出世払いの奨学金」を拡充すればいいとの立場だ。そうすれば、授業料無償だけでなく、教材費や修学旅行費さえ捻出できない人も救える。そして、より少ないコストでより大きな効果を生みだすことができるのだ。

 みんなの党は、お金持ちに出すお金があるなら、それをむしろ、より所得の少ない若年層のために、幼児医療や幼児教育の無償化の方に振り向けるべき、との立場だ。

 これに加えて、民主党政権には、農家の戸別所得補償制度の導入もある。将来の農業の生産性の向上もなく、のべつ幕なし、選挙対策で全農家にばらまく施策である。こんな「理念なき戦略なきバラマキ」を続けていたら、早晩、この国は財政破たん、いや国家破たんするであろう。この問題は、来るべき参院選の最大の争点になる。

長妻大臣の豹変・・・「天下りの根絶」はどこへいったのか!
何をどう間違えたのか(上)・・・鳩山政権発足から半年