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シリーズ/民主党政権に望む (3) 内閣人事局は何処へ?

2009年9月28日  tag: ,

組織管理の要諦は、先週の直言でも延べたが、「人事とカネ」を握ることにある。これは官僚組織であれ、民間企業であれ、同じことだ。

 「カネ」、すなわち、予算編成を政治が主導する、首相官邸、総理のお膝元で、少なくとも「予算の骨格、基本方針」を決める、このことの重要性や、今、この点を巡って民主党政権下で起こっていることへの危惧については先週述べた。今回は「人事」について考えてみよう。

 問題は、この「人事」に対する鳩山首相や民主党の方針がはっきりしないことだ。首相は、選挙前の一時期、「幹部職員は一旦退職してもらって、政権への忠誠度を確認した上であらためて再任する」という類のことを言ったことがある。これがいつのまにか撤回されてしまったきりだ。

 人事を掌握するとは、すなわち、幹部人事を掌握するということに他ならない。そのために自民党政権下で「内閣人事局」が発案された。内閣人事局の設置は公務員制度改革の肝で、幹部官僚人事を内閣に一元化し、総理や官房長官主導で決めるという画期的な改革だった。それまでの霞が関のお手盛り人事、すなわち、無駄な補助金や団体、許認可を維持・拡大し、天下り先を増やした官僚が出世する人事から、国民本位に政策を立案し、税金の無駄遣いも減らした官僚が出世する人事に変えていこうという趣旨だった。

 しかし、これを盛り込んだ法案は先の通常国会に提出されたが、審議されないまま廃案になっている。麻生政権のやる気の無さと霞が関のサボタージュによるところが大きい。しかも、この「内閣人事局」は、公務員制度改革基本法によると、今年の夏までに設置されなければならないところ、もうとっくに期限が切れ、違法状態になっているのだ。

 この内閣人事局を一体どうするのか、が民主党政権でまったく示されていない。この問題では人事院総裁まで巻き込んでの壮絶なバトルがあったように、公務員の労働基本権がからんでくる。私の立場は、基本権はあくまで一般職員の権利を定めるもので、幹部職員は民間会社でいえば役員(管理職)であり、異なった人事政策を適用しても問題はないというものである。

 すなわち、現在、官房副長官や副長官補が特別職の政治任用とされているように、幹部職員(審議官・部長以上)も法律を改正して、同様の扱いをすれば良いだけの話だ。しかし、この点も、公務員労組の反対にあって、人事院の機能(公務員への手厚い保護)の見直しに民主党は躊躇しているのが現状だ。国会でもあの平然と時の政権に反旗を翻した人事院総裁と同意見を述べた民主党議員がいたことは記憶に新しい。

 しかし、是非、鳩山首相には、次期臨時国会で、内閣人事局の設置や幹部職員の政治任用化を盛り込んだ国家公務員法の改正案を提出し、成立させてほしい。そして、一旦、首相が口の端にのせた「幹部職員の退職と再任用」という人事を通じて、民主党政権のアジェンダにしっかり協力する霞が関に変えていってほしいものだ。

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