8月8日、私、江田けんじは、渡辺喜美さんらとともに、改革新党「みんなの党」結成記者会見を行った。この年初来、「脱官僚」「地域主権」「生活重視」で国民運動を全国で展開してきた、その成果を結実させたものだ。
まず、この「みんなの党」の政治的立場をはっきりさせておきたい。それは「政権交代」で「自民党政治を終わらせる」ことだ。選挙後の政権も民主党中心で良い。ただ、「みんなの党」はその先を見ている。なぜなら、政権交代後の日本の政治、日本の将来が心配でならないからだ。「政権交代後の政治を民主党だけに任せておくわけにはいかない」。それが「みんなの党」結成の最大の理由だ。
具体的に述べよう。民主党の掲げる「バラマキ政治」が問題だ。マニフェストを見ると、これでもかという「おいしい話」が並んでいる。高速道路の無料化、農家への全戸戸別所得補償、高校の無償化etc。これだけの「バラマキ」を選挙後、本当に実行したら、確実に日本の将来が危ない。こどもの将来が危ない。この「バラマキ」を「改革」「経済成長戦略」で正していかなければならない。「みんなの党」は、そのための新党だ。
高速道路の無料化は、聞こえは良いが、実は「タダ」ではない。年間1兆3000億円の税金を投入するから「タダ」になるだけだ。しかも、これまでは高速道路の利用者だけが「通行料」として負担すればよかったものが、高速道路を利用しない人までが税金で負担させられる。また、環境団体が一斉に反対しているように、無料化でCO2の排出量(試算では運輸部門で4%増)が増え、地球環境に深刻な影響を与える。地球環境問題重視の民主党として「あるまじき」政策だ。
農家の戸別所得補償も、農業を今後続ける意欲の「ある人」にも「ない人」にも一律に税金でお金をばらまく。これでなぜ農業の足腰が将来強くなるのか私にはまったく理解できない。高校の授業料の無償化も、お金持ちの子弟までタダにする余裕は、今の日本の借金財政にはない。本当に困っている子弟に返済不要の奨学金を出せば良いだけの話だ。
民主党のマニフェストには良い政策もあるにはある(子育て手当等)が、一言でいえば、「親が楽して子供の将来を危うくする政策」だ。私も7歳と4歳の子供を持つ親だが、親なら誰しも自分のことより子供のことを心配するものだ。民主党のマニフェストはそれに逆行している。
民主党への不安は他にもある。「脱官僚」では民主党も一見「みんなの党」と類似の政策を並べているが、公務員の労働組合(官公労・自治労)に全面的に支援されている政党が、選挙のあと、その人達の首を切ったり(人員削減)、給料を減らすことが本当にできるだろうか。私の中央省庁再編時の経験からも、政権をとった途端に「抵抗勢力」が行革を阻止しようとするだろう。当時、一番反対したのが官公労・自治労だったからだ。また、選挙の時に大変お世話になった方々(公務員)に、あとは知らんぷりで、それほどの「仕打ち」(公務員の削減と給料カット)をすることは「人の道」にも反する。
また、細かい点だが重要なことは、民主党の「脱官僚」は「みんなの党」と似て非なるものだということだ。民主党は確かに公務員の総人件費を2割カット、1.1兆円削減と公約しているが、実は、具体的な公務員の削減数を示していない。かつ、給料本俸の削減には触れず、手当や退職金という周辺部分の削減だけに触れている。ここがミソで、要は、民主党は公務員の労組に配慮しているのだ。「労働基本権の付与」も同じだが、民主党は公務員の地位や待遇を守るための基本権付与なのに対し、「みんなの党」は「民間並みのリストラ実施」のための基本権付与だ。ここが根本的に異なる。他にも枚挙に暇がないが、紙幅の関係で省略する。
その点、「みんなの党」にはまったく「しがらみ」がない。公務員の労働組合はもちろんどの業界団体、労働組合からも組織的支援を受けていない。思う存分、天下りの全面禁止や国家公務員の10万人削減、給与の2割カット等々、行政改革を断行し税金の無駄遣いを必ず一掃させる。渡辺喜美さんも私も、口先だけではなく、実際、政権の中で官僚組織と戦った政治家だ。喜美さんは行革担当大臣として公務員制度改革を、私は10年前、総理秘書官として中央省庁再編、大蔵省の分割等に取り組んだ。官僚の手強さ、したたかさも知った上で、官僚をコントロールするノウハウも経験も持っているつもりだ。この点も民主党とは異なる。
もう一度言う。民主党批判をあえてしたが、自民党政治がどうしようもないことは自明の前提としている。また、民主党しか大きな選択肢がない以上、政権交代後の政権は「民主党中心の政権」で良いと考えている。そう、我々「みんなの党」は、「政権交代のためのもう一つの選択肢」なのだ。民主党ではない「もう一つの健全な政権交代勢力」だ。そして、真の国民政党という立場から、政権交代後の政治を正していく、「脱官僚」「地域主権」「生活重視」という理念、基本政策に基づき、同志を増やし、日本の政治に新しい流れをつくっていく。「政権交代+政界再編」、これが「みんなの党」の政治姿勢だ。
今は小さな政党だが、「小さく産んで大きく育てる」、そう、政権交代後の国会を、あの「郵政国会」で300議席を与え「傲慢な政治」になった、その二の舞に絶対してはいけない。「みんなの党」。少し、違和感のある名前かもしれないが、国民の皆さんと常にともに歩む、常に国民の側に立った政治を実行する、そういう決意を込めて、あえて名称も「既成概念」を打ち破った。既成の秩序や概念から変えていかないと政治など変わらない。「YOUR PARTY」、皆さんのお力で大きく育てていただければ、必ず、日本の政治を変える!変えてみせる! ご理解を心からお願い申し上げます。
Copyright(C) Kenji Eda All Rights Reserved.