百年に一度の霞が関バブル。今、累次の経済対策のかげで、官僚ですら「ゲップ」がでるほどの予算の大盤振る舞いがされている。以前にも「直言」で指摘したが、天下り先への基金や補助金の創設をはじめ、必要性が薄いとされ、長年、官僚の引き出しの中で眠っていた事業でさえ、表舞台に引っ張り出されているのである。
はじめに14兆円ありき。すべての問題はここにある。14兆円になんなんとする予算規模にまで積み上げるための苦肉の策の羅列だ。これで3年後には消費税増税というのだから、国民にとってはたまったものではないだろう。
一例をあげよう。今回の補正には3兆円の「ハコモノ」(建設物)予算がついている。「スパウザ小田原」とか「私の仕事館」をひくまでもなく、これまで散々「無駄遣いの象徴」とされてきたものだ。今回も例外ではない。
筑波研究学園都市というのがある。各省庁の研究所を糾合し、30年近く前に人工的につくられた都市だ。そこにまた研究所と称して「ハコモノ」をつくる。たしかに研究開発投資は将来への投資として必要だろう。しかし、ついた予算は、研究者が真に望む研究建屋の建て替え・修繕でもなければ、研究設備・機器の更新でもない。それでは、景気への即効性がない、取り壊し予算や時間がかかるという理由で、「ハコモノ」(ドン殻)の新設が対象とされたのだ。これでは、その中味(研究人材、設備機器、維持管理費等)は一体どう整備したらいいのか。今、研究者は頭を抱えこんでいる。
今回の補正で予算措置がされた46の基金中、30基金の創設も、官僚が知恵がないときに活用する手段だ。とにかく金をそこに積んでおいて、使い道はあとから考える。エコポイントなどはまだその中味が決まっている方で、その他の基金の金は、いつ何に支出されるのかが明確に決まっていない。これでは、景気に効くのか効かないのかさえはっきりしないのだ。そして、その、基金に積まれた莫大な金の運用益は天下り官僚の人件費に消える。
まだある。「ミッシングリンク」。つながっていない道路のことだ。日本人が横文字に弱いことにつけ込んで、「熊しか通らない」不必要な道路も、ほこりをかぶった資料を引っ張り出して、復活させた。何のことはない。あまりに恥ずかしいから横文字でカムフラージュしただけのことだ。
先週、自民、民主の賛成で衆院を通過した政策投資銀行法と商工組合中央金庫法の改正案もいただけない。この経済危機にかこつけて、両者とも「完全民営化」の既定路線を撤回して、改革を逆戻りさせた。
確かに経済危機で政策金融が重要なのはわかる。しかし、そのために日本政策金融公庫という政府系金融機関があるのだ。必要ならそこの機能を拡充すればたりる。政策金融は政府に一つあれば良い。こうした超一級の官僚の天下り先を温存するより、両行を民営化して得た株式売却益を政策金融の原資にした方が、よほど今必要な経済対策だろう。こういう考えで、私と渡辺喜美さんは、この改悪案に反対した。ここでは自民に限らず、民主の悪いところがでた。
とにかく、この「亡国の予算」は、一刻も早く、執行停止、抜本組み替えにしないと、この国は終わってしまう。そのためにも次の総選挙で「政権交代」+「政界再編」が絶対必要なのだ。
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