この私の質問主意書に対し、先週、大変ふざけた答弁書が閣議決定された上で返ってきた。まさに、官僚、特に、これまでは比較的純粋法律的に判断することで、かろうじてその地位を保ってきた内閣法制局ですら、政治的な思惑に壟断されていることを象徴する答弁書だった。
一言でいえば、自分たちの都合の悪いことには答えないという「答弁漏れ」をあえてしている点だ。政府部内においては、この質問主意書への答弁書は、国会答弁と異なり、すべて内閣法制局の審査に服する。それがたとえ法律的判断を求めていない場合でも、質問に的確に答えているかどうかを審査するためだ。今回は、それさえも放棄した。官僚、霞が関の劣化が著しい証拠だ。
この点については、再び、質問主意書を先週、提出した。
特に、河村官房長官が、3月24日の参議院内閣委員会での答弁で、内閣人事局長には事務の官房副長官をあてるのが「麻生政権の方針」と明言していることについて、この国会答弁を撤回するのかどうか。また、防衛省で、スタッフ職たる防衛参事官が、ライン職である内局局長や官房長を兼ねている例があることから、今回の国家公務員法改正案にも、「内閣人事局長は、国家戦略スタッフをもって充てる」と規定すれば足りるのではないか。防衛参事官には兼務が認められ、国家戦略スタッフには国家公務員制度改革基本法の改正がないと兼務が認められない理由如何。この二点だ。
そもそも、内閣人事局の仕事は、他の職務と兼務で片手間で行えるようなものではなく専任とすべきなのである。それをあえて、国家戦略スタッフの活用を排除し、3人の副長官の内一人と兼務とすると法律上表現しているのは、霞が関文学では、事務の官房副長官がこのポストを占めるということを意味する。河村官房長官の国会答弁はこれをエンドースするものだ。
こんなことも見破れず、しかも、最後の最後で、改革派の塩崎恭久氏や中川秀直氏を「これは総理のご意向だ」と押し切った、石原伸晃自民党公務員制度改革委員長とは一体何者か。改革派をきどっているこの方は、道路改革の時も、最後は腰砕けになり、守旧派と手を結び改革派を追い落とした。昔は私も親しくおつき合いし将来を期待したものだが、完全に裏切られたという思いだ。官僚の掘る落とし穴に簡単にはまり、はまっていることすら認識していない。官僚の手のヒラの上で踊る政治家の典型であろう。
その意味でも政権交代しかない。民主党が良いわけではないが、こうした自民党と官僚との腐れ縁を切るだけでも、政権交代は必要だ。そして、内閣人事局長の実際の発令は来年の4月なので、そこで法律を改正するか、政務の官房副長官をとりあえず任命し、政治主導の実をあげていけば良いだろう。
(参考)
防衛参事官の所掌事務「命を受けて、防衛省の所掌事務に関する基本的方針の策定について防衛大臣を補佐する」(防衛省設置法第七条第二項)とされ、「官房長及び局長は、防衛参事官をもつて充てる」(防衛省設置法第九条第二項)ことになっている。
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