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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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『麻生隠し』に走った米国・・・TVキャスターよりも軽いのか

2009年3月 2日  tag: , ,

今回の麻生訪米への評価ほど、今、この国がおかれている官僚主導の政治、その情報操作に踊らされるメディアの現状、日米関係に巣くう識者といわれる人の正体をあぶり出したものはないだろう。

 一部のメディアを除き、大部分のメディアは、今回の麻生訪米を米国側の「破格の厚遇」と評した。どこが「厚遇」なのか。ホワイトハウスにオバマ大統領が初めて招いた首脳が麻生首相、その前段階として、ヒラリー国務長官の初めての外遊先が日本・・・・・・。

 実際はどうだったか。往復一日かけて、「一本遣い」(それだけが目的の意)ではるばる来訪した一国の首脳に、朝10時半から一時間少しの会談(通訳抜きで正味30~40分)。その後、あえて食事を共にしない、共同会見もしない。そして、大統領の週間日程を発表するはずの大統領報道官は、事前に首脳会談の告知もしなかった。結果、米国では、日本と違い、ほとんど麻生訪米は報道されなかった。米国側の「麻生隠し」は見事に効を奏したのである。

 その背景には、国民の支持を失ったレームダック首相が、やいのやいのと首脳会談の早期開催をしつこく迫ってくるので、あえて、この施政方針演説当日の忙しい日を指定してきたという米国側の思惑もあっただろう。ましてや、この会談決定は、あの世界に醜態をさらした中川財務大臣辞任劇の前だった。米国側にその後「しまった」という思いも、ひたすら日米首脳会談をローキーに、プレイアップしない方針につながったのだろう。

 そう2月24日という日程は米国が指定し通告してきたのだ。これが日本側が指定した日ならまだわかる。大統領がそんなに忙しい日なのだから、儀礼抜きの、この程度の会談だけの対応もあり得たかもしれない。しかし、日本の外務省をはじめ、日本側は3月中の開催、4月2日の金融サミット前で良いと考えていたのに、米国が、一週間前に突然、この日を指定してきたのだ。それでこの対応というのは、外交儀礼(プロトコル)上、極めて非礼なことだ。

 その後の、オバマ大統領の時間の過ごし方をみれば、その非礼さはより鮮明になる。12時前まで会談していた一国の首相とのランチはとばして、大統領がランチを共にしたのはTVキャスター。そして、その後は、午後9時からの演説の準備でホワイトハウスに籠もりっきりだったという。大統領や首相の時間をとるのは確かに至難の技だが、首相側近でそのスケジュール調整をしていた私に言わせれば、それでも1~2時間は何とかやり繰りできるものだ。ましてや、相手は一国の首相なのだ。

 ところで、先に来日したヒラリー国務長官への接遇はどうだったか。本来なら、カウンターパートの中曽根外相主催の晩餐会でいいところを、格上の首相晩餐会とし、皇后陛下の御所でのお茶会まで催して歓待した。これこそ「破格の厚遇」と言うべきなのだが、その厚遇をした首相にすら、その一週間後、これほどの冷遇である。

 ちなみに、このヒラリー国務長官の初外遊先が日本ということで外務省ははしゃいだが、これは、単に米国外交上の役割分担にすぎず、オバマ大統領本人はカナダ(慣例)へ出向き、バイデン副大統領は欧州へ、ヒラリー国務長官はアジアに来ただけの話だ。アジアへ来るなら同盟国たる日本へ最初に来るのは当たり前の話で、そうじゃないと大問題だっただろう。ただ、今回の歴訪をみていると、日本、インドネシア、韓国と予行演習して、本番は中国といった感じだった。

 いずれにせよ、一本遣いの一国の首脳には考えられない冷遇だが、それを喜んでノコノコ出ていく方も方だろう。米国に完全に足元をみられた訪米だった。にもかかわらず、外務省は、その早期訪米を手柄にしたいものだから、「厚遇」「厚遇」と大本営発表する。そして、大部分のメディアはそれを鵜呑みにして、そのまま報道する。極めつけは、日米関係を「飯のタネ」にしている外交評論家と言われる人たちがそれをエンドース(追認・同調)する。それが、いかに現実とかけ離れているかは、当の米国内の報道、海外の反応をみれば一目瞭然だろう。

 「オバマ政権は日本を重視」とひたすら外務省が喧伝しても、オバマ政権の優先順位は、麻生首相への大統領からの電話が十数番目だったことがすべてを表している。そして、早期訪米のツケは大きい。今、米国は、ビッグ3やシティー他金融機関の救済で、いくらお金があっても足りないのだ。

 今回の日米合意をみても、「米ドルの基軸通貨を維持」「日米で経済協議の枠組みづくり」の意味するところは、米国債の引き受けをはじめ、日本に資金拠出のお願いをしたいということだろう。ヒラリー訪日時も、米軍再編(グアム移転)で100億ドルのうち60億ドルを日本が負担する協定に調印した。

 麻生政権浮揚のために首脳会談さえ利用する。こうした首相が今後、続々外交日程を入れて政権維持を図る。もう世界に恥をさらすのはいい加減にしろと言いたい。

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