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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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やっと政治が変わる!・・・そして何をなすべきか?(中)

2009年1月12日  tag: , ,

短期的には、当然だが、この百年に一度と言われる金融・経済危機をサバイヴする方策だ。年末の派遣村にみられるように、今日、明日の生活ができない本当の困窮者への生活保護はもちろん、雇用、失業問題への対応には万全を期すべきだ。

 財政規律か積極財政かという問題がある。しかし、この世界的な恐慌から日本経済を救い出すために、財政出動はむしろ当然だろう。ただし、その中味が問題なのだ。中長期的な財政規律の「タガ」ははめた上で、景気に効く分野への集中投資を行う。できれば、それが将来の日本のための先行投資であればなおさら良い。民間が当たり前のように行っている「選択と集中」の考え方だ。

 これまで日本の成長の6割は外需が担ってきた。急激な円高でそれが打撃を受けている以上、また、米国や新興国の経済が立ち直るのにも時間がかかる以上、真の意味での内需主導の回復を目指さなければならない。

 そのためには、まず、経済波及効果の高い(経済学でいう「乗数効果」の高い)分野、例えば、住宅の建設促進や車の販売促進が早道だろう。

 住宅は、建てれば家具や電化製品等の消費が増える。少子高齢社会をにらみ、都会を中心に不足している老人ホームや保育園の建設促進にも重点を置く必要がある。車も3万もの部品でできているので、大変すそ野の広い製品だ。フランスは車の買い換えに一台12万円の補助を出すことを決めたが、それに近い販売促進策も考えて良い。

 そして、この際、乗数効果の低い道路のような分野は建設を凍結して、そのための財源を捻出すべきだろう。

 とにかく、日本には1500兆円にものぼる個人金融資産がある。そのうち半分以上の780兆円は現金や預金で持たれ、そのうちの半分はお年寄りが保有していると言われる。この資産を活用しない手はないのだ。それを投資や消費に振り向けさせる政策、例えば、おじいちゃん、おばあちゃんが、可愛い子供や孫の住宅資金のために生前贈与する場合は無税にし、逆に相続税を上げれば住宅投資が促進されるだろう。こうした民間活力を引き出す税制、規制改革、予算配分改革が必要なのだ。もちろん、お年寄りに安心してお金を使ってもらうためには、真に「百年安心」の社会保障制度の整備も不可欠だ。

 前にも書いたが、日本の経済が「全治3年」(麻生首相)と言うなら、今後3年間を「集中改革・景気浮揚期間」と位置づけ、行革や税金のむだ遣い解消、埋蔵金発掘等で得たお金を入れる「改革の果実還元」特別会計をつくり、その財源を、内需喚起、格差対策、医療・年金の立て直し等に当てていく。肝心なことは、使える財源はすべて国民の前に出し、必要な政策メニューも網羅した上で、「選択と集中」の原則に基づき、計画的に今後の道筋、工程表を明らかにして進めていくことなのだ。そうでないと国民の「安心感」は得られない。

 麻生政治の最大の問題は、場当たり的な政策をつまみ食い的な財源でやろうとしていることだ。そして、おまけにわけのわからない「消費税増税」を打ち出した。先行き不透明なまま、やみくもな財政出動をしても、借金だけが積み重なり、90年代の失敗を繰り返すだけだろう。

 それにしても、「日本型経営」の美徳は一体どこにいってしまったのだろうか。今の経済状況が厳しい生産調整を求めていることはわかる。しかし、一言でいって今の企業には「企業徳」がない。自らの給与やボーナスを削っても従業員を守ろうとする気概が、今の経営陣に見られない。また、内部留保が12兆円にものぼる会社が、この年末年始の寒空の中で6000人の期間工を首にする。こうした経営判断が本当に正しいものなのか。この会社の経営者は十年前、月刊誌に寄稿して「経営者よ、クビ切りするなら切腹せよ」と言っていたのだ。

(次号に続く。)

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