先週末、経済対策を打ち出す総理記者会見で、麻生首相は「解散、当面先送り」という発言をあえてしなかった。相変わらず「しかるべき時に私自身が判断」としか言っていない。ただ、「政局より政策優先、景気対策優先」との認識を示したので、メディアがそう報じているだけだ。
確かに、解散時期を明確にしないことで、「解散カード」を保持し、与党内の求心力を維持したいとの麻生首相の魂胆はあるだろう。現に、記者に質問されて「当面とはどの程度が当面なのか、その定義もわからない。第二次補正予算が通るか通らないか、国会運営にもからむ」と思わせぶりな発言をして、今後の民主党の出方によっては、その時点で解散もありうべしとのニュアンスを出した。
また、大統領交代による米国の政権移行期(11月4日~1月20日)に、日本まで選挙で政治空白はいかがかと聞かれ、「好ましくはないが、選挙になったからといって行政は存在し、直ちに空白とは言えない」と答えたのが、それに拍車をかけている。これを「すわ年末解散か」と受け止めた政治家も多い。
確かに、来年9月の任期切れまでを見通して、仮に、麻生首相が、「攻めて」仕掛ける解散・総選挙のタイミングがあるとしたら、それは年末・年始しかないだろう。その理由は以下のとおりだ。
1.
まず何よりも政治空白を来たさない唯一のタイミングだ。12月25日に新年度予算編成が終わって、その後即解散すれば、1月6日(13日)告示、18日(25日)投票という日程が描ける。例年、通常国会が召集されるのは、膨大な予算書作成の期間も考慮に入れ1月20日前後なので、丸々その「空白期間」を有効活用できるのだ。
2. それに「見かけだけでなく、実績を重ねて勝負したい」との麻生首相の意向も満たされる。第二次補正や新年度予算の国民への提示、テロ特措法の2/3での再可決等で実績をアピールできるタイミングだ。
3. また、麻生首相も、さすがに「野垂れ死に」解散はしたくない。そうでなくとも「弱虫太郎」(菅民主党代表代行)と言われ、「選挙の顔」を期待した与党内での求心力も落ち、実体経済もどんどん悪くなっていく。その中で、できれば「早い良いタイミング」を狙って解散を打ちたいと思うのは、麻生氏ならずとも総理たる者が普通考えることだろう。
4. そして、公明党との関係でも、年末年始は当初彼らが了承していた、ギリギリのタイミングでもある。
5. さらに、仮に選挙に負けても、民主党に政権交代早々から予算編成をさせないという意味合いもある。細川政権時にも、もう少し新政権が続いて、あと一回予算編成をしていたら、当時野党の自民党は干上がったと言われた。それだけ、政権、権力の象徴が予算編成だ。それが、1月時点での選挙、政権交代では、途端に予算の抜本組み替えが必要になる。丁度、橋下大阪府知事が1月に選任されて暫定予算を宣言し本予算は6月にずれ込んだように、民主党政権が誕生した場合には早速大混乱が待っている。おまけに厳しい経済状況下で、悠長に予算編成の再編成をしている時間的余裕もない。選挙に負けても当初から民主党政権に打撃を与えられるのだ。
6. 政党助成金の問題もある。この資金は毎年1月1日現在の議員数で按分比例されるが、年初投票であれば、今の圧倒的多数の自民党議員を基数に計算される。多少の選挙遅延で生じた傘下議員の不満への対応、すなわち軍資金提供にも有利だ。
要は、今後の、民主党との国会でのせめぎ合いの中で、民主党を「抵抗勢力」と見立てられるような局面が来たら、そこで解散という算段なのであろう。ただ、仮に、そのような局面が来たとしても、直前の金融・経済情勢、株価等で思惑通りにいかなくなるのも、今回の解散先送りを余儀なくされた事情からも明らかだ。
いずれにせよ、私、江田けんじは、他の陣営とは異なり、組織選挙でもなく、大きな選挙事務所や多数の事前ポスターでお金をかけるわけでもない、純粋なボランティア選挙だ。選挙にあるなしに係わらず、国会、地元活動を含め、今後とも粛々と日常の政治活動を続けていきたいと思う。
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