今後の政局・・・ (1) サミットを花道に福田首相退陣
2008年4月21日 tag:
この27日には山口で衆院補選が行われる。驚くべきことに、現下の政治状況下で、断然有利と思われていた民主党現職候補が、どんどん自民党新人候補に肉薄されているという。一体何が起こっているのか。
確かに福田政権の支持率はじり貧だが、民主党の支持率も、昨年、安倍退陣時のそれをピークに下がり続けている。「何でも反対」の政局ねらいが、国民の支持を受けていないことが背景にもあるだろうし、「自民も民主もどっちもどっち」という国民の思いが、そうさせている面もある。民主党が「反自民」「非自民」の受け皿となっていないのだ。
しかし、仮に万一、民主党が負けるようなことになると、その打撃は、自民党が負ける場合のそれよりもはるかに大きい。そうでなくても、日銀総裁人事等で求心力が衰えた小沢代表にとって、「選挙に強い」という神話までが崩れ、党内で虎視眈々と後釜を狙っている勢力が、秋の代表選に向けて露骨に動き出すからだ。「福田政権打倒」どころではなくなる。
それほど、この補選は重要なのだが、さはさりながら私は、基本的には以下のような道筋を通って今後の政局は動いていくだろうと予測している。
自民党で今、「福田で選挙を戦おう」という人はあまりいない。しかし一方、この局面で、あえて「大貧乏くじ」を引いて「福田降ろし」に走り、自分が後釜に座ろうという人もいない。したがって、国民に不評な「再議決」「強行採決」を連発し、どんなに内閣支持率が下がろうが、世論の批判が高まろうが、洞爺湖サミットまでは福田で行く。
自民党の魂胆は、まるで「ボロ雑巾」になるまで福田首相を使い倒し、嫌なことはすべて福田首相に押し付け「滞貨一掃」、安倍内閣時代に参院選前、重要法案はこれでもかというように17回強行採決を連発して通したような様相を、国会は呈することになるだろう。
もちろん、今月30日には「ガソリン暫定税率」の衆院2/3再議決を強行する。5/12に期限がくる「道路特定財源法」(ガソリン税をむこう10年間特定財源にする法案)も、福田首相の「来年度一般財源化」という方針にたとえ矛盾しようが、これまた強行採決する。そこで世論の動向を気にする民主党も、さすがに参院に「首相問責決議案」を提出し可決する。これに対して自民党は、衆院で「首相信任決議案」を可決して対抗する。
しかし、この時点で参院は完全に空転する。逆に言えば、民主党にとって「首相問責決議案」は、そこまで考えて出すべき最終手段なのだ。さすがに他の審議拒否、空転と違って、「首相問責決議案」を可決しておいて、その後の空転を収拾する大義名分はあまり考えられない。だから、会期末までの空転は覚悟の上での「首相問責決議案」になる。それを国民が許すかどうか。そこが民主党の悩ましいところなのである。
一方、自民党も、例え参院が完全空転しようが、必要なら、例の「二ヶ月ルール」を使って会期末に、その他の予算関連・重要法案を、これまた衆院2/3再議決を強行して成立させる。福田自民党政権にとっては「毒喰らわば皿まで」。どんなに野党や世論に批判されようが「正しいと思ったことはやる。それが政治だ」と思っている福田首相には関係ない。そうすれば、めでたく会期の多少の延長はあっても、洞爺湖サミットまでには懸案事項はすべて片づく。
ただし、サミットが終わると同時に、その時の支持率次第だが、自民党内では「サミット花道論」が急速に拡がる。サミット直後の「首相辞意表明」は国際儀礼上、他の先進国に失礼なので、幸い8月は「北京オリンピック」で世の中はそこに関心が集中するので、そこをやり過ごし、9月になって福田首相は、支持率が「どん底」になり、また、何らかの政策の責任をとる形をつくって「退陣表明」するのだ。
(この時点で奇跡的に支持率が回復基調である場合は、退陣表明ではなく、内閣改造をして即解散という選択肢はある。しかし可能性としては低い。)
(次号に続く)
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