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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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イージス艦衝突事故・・・通報二時間遅れ

2008年2月25日  tag:

 今回のイージス艦の事故では、またまた総理や防衛大臣への通報が遅れた。危機管理上極めてゆゆしき問題だが、一体何回こうしたことを繰り返すのか。

 メディアでは、この事故と20年前の「なだしお事件」を重ね合わせ論じている向きが多いが、私は、この通報遅れを聞いて、真っ先に思い起こしたのが、04年11月の中国原潜領海侵犯事件だった。この時も、小泉総理が事件を知ったのがやはり二時間後だった。

 この時の「今週の直言」で私は次のように書いた。

 「中国の原子力潜水艦が日本の領海を侵犯した。その際、また、初動が遅れ、小泉首相に一報が入ったのは事件発生から二時間後、海上警備行動が発令されたのは三時間後だった。しかし、その時、既に、原潜は領海外に去っていたのである。
 問題は、領海侵犯中の二時間、ミサイル発射等の万が一のことがあったときに、自衛隊をはじめ日本側が、全く即応能力を欠いていたということである。ちなみに、今、米軍が一番注目しているは、中国原潜の核弾道ミサイル搭載能力だというのに、である。」

 これでは日本の、日本国民の安全はまったく保たれない。石破大臣は、今更のように大臣への通報体制の見直しを指示しているが、問題の本質は、通報手続きやマニュアルにあるのではなく、それを運用する「人」なのだ。

 危機管理は「人の営み」だ。確かに制度やマニュアルはその助けにはなるが、究極的には、それを運用する「人」だということを重々肝に銘じておく必要がある。だから、しっかり自衛隊という組織を日頃から掌握し、危機時の意識を植え付けておく。大臣自身への昼夜を分かたぬ通報なぞ大臣就任の日に、当然部内に徹底しておくべきことなのだ。

 この自衛隊や警察、消防、海上保安庁などを所管する大臣の一番の職責は危機管理である。その際最重要なのが初動であり、そのための迅速かつ的確な情報収集、情勢分析である。したがって、何をしなくとも、まずは就任時から、いの一番で当該組織にそれを徹底しておくべきなのだ。

 先の「直言」ではこうも書いた。

 「今回も、首相を8時にたたき起こした人間は、警察庁出身の首相秘書官(役人)だったはずだ。「寝坊すけ」の上司をたたき起こすのは勇気がいる。『こんなことでなぜ俺を起こすんだ』と恫喝されないためにも、用意周到に情報収集してから、万全を期してから起こそうと思うのも人情だろう。問題は、首相官邸という危機管理の一番の要が、そう習慣づけられていることが恐ろしいのだ。」

 そう、部下は、特に、総理や大臣を就寝中にたたき起こすまでには、様々な葛藤もあるし、それなりの情報収集をしてからという官僚らしい慎重さも頭をもたげる。それをあらかじめ払拭できるのは、総理であり大臣でしかないのだ。そういう訓辞を「危機管理総理、大臣」は真っ先にしなければならない。就任直後から、いつテロや大震災、ハイジャック、今回の事故のような事態がおこるかわからないからだ。

 石破大臣は、確かに、軍事知識には詳しいのかもしれない。しかし、今回、二度目の防衛大臣で、既に何年も防衛のトップにいる政治家としては、組織のマネージメント能力に欠けると批判されてもやむを得ないだろう。

 しかし、それよりも、つくづくと思うのは、こんな自衛隊、トップに立つ政治家の体たらくでは、とても「集団的自衛権」を認め、米国とともに地球の隅々まで自衛隊を派遣することなどできないということだ。自衛隊自身にそれだけのオペレーション能力もなく、かつ、今の政治家にそれを指揮できる能力もない。前にも述べたが、私が「集団的自衛権行使」消極論に宗旨替えしたのは、まさに官邸での経験からくる、この日本の危機管理能力の驚くべきレベルの低さなのである。


※「シリーズ/地球環境問題を考える」は今週はお休みします。

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