ガソリン値下げ国会?・・・暫定税率は廃止すべきだ
2008年1月21日 tag: 暫定税率
通常国会がスタートした。民主党は「ガソリン値下げ国会」と位置づけ、福田政権を春先の解散総選挙に追い込む戦術だ。しかし、単に「ガソリン税の暫定税率」だけに焦点があたる国会ではなく、国民生活全体の諸問題を与野党が建設的に議論し合う国会に是非したいものだ。
ただ、この「ガソリン税の暫定税率」についていえば、私も廃止すべきと考える。もちろん、単にガソリン1リットル25円下がるから賛成というわけではない。
まず、この問題を考えるにあたっては、現行の「道路特定財源」を一般財源化すべきかどうかが議論されなければならない。最近では一部一般財源化されたとはいえ、相変わらず、ガソリン税や自動車重量税、軽油引取税等で集めれた5.6兆円の大部分は、道路整備だけに充てられてきた。
来年度予算案でも、この暫定税率は維持し、今後10年間で59兆円の道路を全国に整備するという。「道路公団改革」の時、80年代に計画された9342kmの高速道路すべてを造るかどうかが熾烈に議論(「熊しか通らない」等々)されたが、現状は、それをすべて造った上で、さらに1万4000km の整備をしようというのだ。何をかいわんや、だ。
私は、昔はともかく、まさに田中角栄政治の象徴だった「高速道路」と「新幹線」で「日本列島改造」しようという時代は終わったと考える。昔なら、何よりもこの二つを起爆剤に「国土の均衡ある発展」を図るということはあり得たが、今や、年金や医療、介護、子育てといった国民生活への予算配分に優先して、財源を先取りし、囲い込む形で整備していくこと、すなわち「特定財源」が必要だとは思わない。
要は「道路の特別扱い」はやめろということだ。その上で、必要な道路は、他の国民生活に係る費目と同等に、予算査定の段階で厳正に措置していけば良い。何も道路はもう要らないと言っているわけではない。したがって、「道路特定財源」はすべて一般財源化し、他の経費にも充てることができるようにすべきである。
そうであるならば、道路整備のために、暫定的といっても30年以上認められきたガソリン税等の特例税率は、元に戻すのが筋であろう。それが立法時の国民との約束でもある。自動車業界に言われるまでもなく、その約束は守るべきだ。したがって結果的にガソリンは25円下がることになる。国民迎合のポピュリズムでもなんでもない。
ただ、地球環境が深刻な問題となり、洞爺湖サミットに向けて日本がリーダーシップをとっていこうする時に、むしろ、ガソリン消費を助長するような税率の引き下げは問題だという意見は傾聴に値する。確かに結果的に値下げでガソリン消費量が増加し、環境に悪影響を与える可能性は否定できない。
しかし、そうならそれは、「環境税」「炭素税」導入の問題として、真正面から取り組むべき問題なのだ。道路財源たるガソリン税とは全く別個の問題である。ここで「環境税」「炭素税」の当否を議論する紙幅はないが、ガソリン値下げが地球環境に負の影響を与えるというなら、論者は、暫定税率は廃止した上で、改めてガソリンを含む化石燃料等に新税導入を主張するのが筋であろう。
いずれにせよ、本国会は、この「ガソリン税の暫定税率」を巡って、与野党攻防の最初の大きな山場を迎える。
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